インナーガレージってどんなもの?間取りの実例や費用相場を詳しく解説

車を月極駐車場に置いていたら、知らないうちに傷が付いていた!

そんな経験をしたことはありませんか?

私はありました。傷の付いた車を目の前に、膝から崩れ落ちそうなできごとでした……。

こんな思いは二度としたくはありません。折よく戸建住宅を検討していたこともあり、次はインナーガレージ(シャッターなどで囲われているガレージ。ビルトインガレージとも)のある建物にしようと決意したのです。

でも、ワンフロアをガレージにしたら居住スペースの間取りはどうなるの?1階に駐車スペースがあるので、そのエンジン音や排気ガスの臭いは大丈夫?防音対策も必要?と疑問は尽きません。そして気になるのはその費用!

この記事では、そんなインナーガレージで特に気になる「間取り」や「費用相場」について詳しく紹介します。実例を交えながら、インナーガレージがある家のイメージをぜひ思い浮かべてみてください!

ビルトインガレージとも呼ばれるインナーガレージ

ビルトインガレージやインナーガレージと呼ばれるガレージ(駐車スペース)について、まずは見ていきましょう。

どのような形状なのか、カーポートとの違いは?といった点を解説します。また、インナーガレージがおすすめな人についても紹介します。

インナーガレージってどんなガレージ?

ガレージと聞くと、住宅の建物とは別の、車だけをとめるスペースをイメージする人も多いかもしれません。

インナーガレージとは、車をとめるスペースが建物に組み込まれたガレージのことです。「住まいの建物の中にあるガレージ」という意味で、インナーガレージやビルトインガレージと呼ばれています。

住宅メーカーによっては、ガレージハウスと記載している場合もありますが、同じ形状と考えて問題ないでしょう。

カーポートとの違いは?

カーポートは、屋根付きの車をとめるスペースです。インナーガレージとの違いは、周囲に壁が無く、横方向からの風雨にさらされやすい点。

カーポートは、敷地に余裕があればインナーガレージよりも手軽に設置できますが、カーポートの柱が車をとめる際に邪魔になることも。

カーポートの柱と柱の間隔が狭いと道路との出入りが手間になることもあるので、余裕を持ったスペースがあるとよいでしょう。

月極駐車場でも代用できる?

敷地内に駐車スペースが無ければ、月極駐車場の利用がまず候補になるでしょう。

しかし、住宅ローン以外に月極駐車場の費用も発生し、都市部などでは家計への負担がとても重く感じられてしまいます。

ほかにも、自宅からの距離も気になるポイント。

駐車場が自宅の目の前にあれば不便さは感じにくいですが、離れた場所にあると駐車場までの移動が負担となってしまいます。買い物などで多くの荷物がある際や、大雨など悪天候のときには、なおさら距離が負担に感じるでしょう。

また、人通りの少ない駐車場は防犯面の心配も。車に傷が付けられてしまったり、車上荒らしにあったりという可能性はゼロではありませんよね。

自宅の敷地から離れた場所に車を置くのは、万が一のトラブルに不安が残ります。

インナーガレージがおすすめな人は?

都心部では「土地に余裕がない」「駐車場代が高い」といった悩みを持つ人が多くいます。このような車の駐車事情から、インナーガレージが注目されるようになりました。

インナーガレージは、車好きな人におすすめです。自分の愛車がすぐ近くにある嬉しさや安心感は、何事にも代えられないでしょう。

また、家と車の移動を減らしたい人にもぴったり。敷地内にガレージを設置しても、玄関までの距離はどうしても発生してしまいます。インナーガレージなら、ガレージが家の中にあるので、移動距離はより短くなります。

インナーガレージのメリット

ガレージの中

インナーガレージのメリットを紹介します。

「インナーガレージのある家が欲しいけれど、どんなメリットがあるの?」と気になる人は、ぜひチェックしてください。

風雨から車を守ることができる

梅雨時や台風の時期など、屋外に車を晒しておくと風雨で車が汚れてしまいます。カーポートなら多少は防げますが、大切な愛車を守るには少し物足りないかもしれません。

インナーガレージなら、壁に囲まれているので安心。また、シャッターを付けて、外から雨や風が入り込まない構造にすれば、より汚れや傷から守ることができます。

DIYやメンテナンスのスペースが確保できる

インナーガレージは車庫として使う以外にも、DIYなど趣味のスペースとしても活用できます。

天気を気にせずに愛車のメンテナンスや洗車をしたり、子どもたちが遊べる道具を広げたりと、広い場所をいつでも確保できます。

「自分が好きなことができる場所が欲しい」という希望が、インナーガレージなら実現可能ですね。

お出かけしやすい

玄関からすぐの場所に車があるので、出かけやすい点もインナーガレージのメリット。

小さな子どもがいる家庭では、車の乗り降りだけでもとても大変。ベビーカーや大きな荷物を車に載せ、子どもをチャイルドシートに座らせる。雨や風が強い日の屋外駐車場なら、出かける前からずぶ濡れになってしまうかも……。

しかし、インナーガレージの家なら、天気が悪くても濡れずに乗り降りできますね。

駐車スペースが確保できる

都心部では敷地面積が狭く、駐車スペースを確保しにくいこともあります。

「ガレージを設置したくても、場所がなくて無理」と諦めてしまう人もいるかもしれません。自宅に駐車スペースを組み込んでしまうインナーガレージなら、そんな悩みも解決してくれますね。

盗難防止で愛車も安心

車両盗難に遭いやすい車種を知っていますか?

日本損害保険協会の調査によると、ランドクルーザーや、レクサスといった高級車の盗難被害が多いそうです。インナーガレージを検討されている人の中には、こういった車種に乗っている人もいることでしょう。

大切な愛車を盗難被害から守るためには、家の中に車をとめるスペースがあるインナーガレージが安心度が高いと思います。

固定資産税が抑えられる

年ごとに支払う固定資産税。その負担を少しでも軽くするのにも、インナーガレージがおすすめです。

建築基準法施行令では、ガレージを含めた床面積の合計のうち1/5までは床面積に含めなくてもよいとされています。

たとえば、延床面積が100平方メートルの建物なら、「100平方メートル✕1/5」の20平方メートルまでのインナーガレージは床面積に含まれません。つまり、この20平方メートル分の税金を抑えられるというわけです。

インナーガレージがある住まいの間取り

インナーガレージやビルトインガレージと呼ばれている間取りの具体例を、坪数ごとに紹介します。マイホームを検討している土地の広さに当てはめて、参考にしてください。

〜20坪/バイクも置けるビルトインガレージ

階数:3階階建て3LDKロフト付き
駐車可能台数:自動車1台・バイク1台
家族構成:夫婦2人
1階の間取り:車庫・収納スペース・玄関・お風呂・洗面所
2階の間取り:キッチン・ダイニング・リビング・トイレ
3階の間取り:洋室3部屋・ロフト

自動車1台とバイクが1台がとめられるビルトインガレージ。玄関はガレージの奥にあり、天気に関係なく車の乗り降りがスムーズにできます。

シャッターを閉めていても、自宅への出入りが楽にできるようにガレージの横にドアが付けられています。ガレージの物置スペースは、バイク用品やメンテナンスツールなどを置くことができ、趣味のスペースとしても大活躍すること間違いなしの間取りです。

参考:BLISS 16.5坪の敷地で叶えた、ビルトインガレージのある狭小住宅

〜20坪/ビルトインガレージ付きの二世帯住宅

階数:3階階建て3LDK
駐車可能台数:自動車1台
家族構成:親1人+息子夫婦2人
1階の間取り:車庫・玄関・トイレ・洋室・ウォークインクローゼット
2階の間取り:キッチン・ダイニング・リビング・お風呂
3階の間取り:洋室3部屋・トイレ

1階に親世帯の部屋とインナーガレージ、3階に息子世帯の部屋、2階を共有スペースとした間取りです。

3階の部屋は将来を想定して、2部屋分の子ども部屋を確保しています。インナーガレージには、趣味の釣り用品を収納するスペースを設置。車と収納スペースの距離が短いので、楽に積み込みができますね。

参考:T&W 15坪の施工例:ビルトインガレージ付き狭小二世帯住宅の間取り

30坪台/8.25帖のビルトインガレージ

駐車可能台数:1台
家族構成:夫婦2人+子供2人
間取り:2階建て3LDK
1階の間取り:車庫・洋室2部屋・玄関・トイレ・収納スペース
2階の間取り:キッチン・ダイニング・リビング・お風呂・洗面所・トイレ・洋室

横にドアが付いており、車庫から外に出ることなく玄関へアクセスできるインナーガレージの間取りです。

ダイニングやリビングなどの生活スペースは2階に配置。2階の洋室は、将来の子どもの成長に合わせて柔軟に対応できる間取りになっており、間仕切りで2部屋に分けることもできます。

参考:お家のいろは

30坪台/愛車を大切に保管したい!を叶えるインナーガレージ

駐車可能台数:1台
家族構成:夫婦2人
間取り:2階建て2LDK
1階の間取り:車庫・洋室・玄関・ウォークインクローゼット・階段下収納・トイレ
2階の間取り:キッチン・ダイニング・リビング・トイレ・ウォークインクローゼット

愛車を大切に保管できるように電動シャッターやスポットライトなどが取り付けられたインナーガレージ。

ガレージから玄関へそのままアクセスできます。2階のウォークインクローゼットは、ファッションが趣味の奥様の衣装部屋。愛車にファッションと、夫婦2人の趣味を満喫できる家ですね。

参考:一戸建て家づくりのススメ

40坪台/エントランスアプローチと一体型のインナーガレージ

駐車可能台数:1台
家族構成:夫婦2人+子供2人
間取り:2階建て3LDK
1階の間取り:車庫・洋室・玄関・トイレ・お風呂・洗面所・収納スペース
2階の間取り:キッチン・ダイニング・リビング・トイレ・洋室・収納スペース

インナーガレージと玄関へのアプローチが接している間取りです。

車と玄関の距離が短いので、車の乗り降りや荷物の出し入れがしやすい作りになっています。バスルームや洗面所、トイレなどを1階に配置することで、2階は広々とした空間で、ゆとりのある暮らしができますね。

参考:お家のいろは

40坪台/木目調のシャッターが特徴的なインナーガレージ

駐車可能台数:1台
家族構成:夫婦2人+子供2人
間取り:2階建て2LDK
1階の間取り:車庫・玄関・トイレ・キッチン・ダイニング・リビング・中庭
2階の間取り:お風呂・洗面台・トイレ・洋室(2部屋)・ウォークインクローゼット

インナーガレージのシャッターを木目調にすることで、外観をおしゃれに柔らかく見せた住まいの例です。

建物内に中庭を作り、外から見えにくくすることで、プライバシーを守る間取りに。1階のリビングは吹き抜けのある中庭からの光で、採光も確保されています。

参考:SUUMO

インナーガレージの費用相場

インナーガレージは車の乗り降りがしやすく、趣味のスペースにも活用できたりと魅力いっぱい。ここでは、坪数別にインナーガレージの費用相場をチェックしましょう。

1台分のインナーガレージの費用相場

インナーガレージの大きさを車1台分で約4坪〜5坪と想定すると、平均的な坪単価が50万円〜80万円なので、だいたい200万円〜400万円ほどがインナーガレージの相場となります。

インナーガレージに必要な大きさは車種などによっても異なるので、どんな大きさの車をとめるのか、何台分のスペースが必要なのかを考えて施工業者の見積もりを取るようにしましょう。

その際には、将来のライフスタイルの変化なども考えておくこととよいですね。

インナーガレージに必要な設備

インナーガレージを快適に使うためには、照明や換気設備などを設置しなくてはいけません。

以下におもな設備の費用の目安を挙げました。1階の部屋をリフォームしてインナーガレージにする場合などの参考にもなりますね。

  • シャッター:20万円〜150万円(手動/電動、形状によって異なる)
  • ダウンライト:1個1万円台〜(インナーガレージ内には6〜8個ほど必要)
  • 換気扇:1万円台〜
  • コンセント:1万台〜2万円台(材料費、電気の引き込み工事代込)
  • 外洗い用シンク:1万円台〜

敷地面積別の費用の目安

住宅を建てる際の一坪あたりの平均的な単価は40万円〜80万円です。インナーガレージの大きさを5坪とすると、面積別の目安額は次のようになります。

20坪:(20坪-5坪)✕ 40〜80万円 + 250〜400万円 = 850〜1,600万円
30坪:(30坪-5坪)✕ 40〜80万円 + 250〜400万円 = 1,250〜2,400万円
40坪:(40坪-5坪)✕ 40〜80万円 + 250〜400万円 = 1,650〜3,200万円

インナーガレージの工事費用によってばらつきが出るので、相見積もりを取り、納得できる価格と内容の業者に依頼するようにしましょう。

インナーガレージの注意点

最後に、インナーガレージの注意点を紹介します。

「こんなはずではなかった……」と後悔しないように、きちんとデメリットも確認してインナーガレージを検討してください。

居住スペースが減る

ワンフロア分を駐車スペースとして使うので、その分の居住スペースが少なくなるのがインナーガレージのデメリットです。

また、駐車スペースが1階になるので、生活空間は2階より上になります。高齢の人や、家族が怪我や病気で病院に行く際には、階段上り下りが負担になることもあります。

今は大丈夫でも、長い年数でみたときに老後などバリアフリーの面では劣ってしまう点をしっかり考慮しておきましょう。

初期費用がかかる

車の洗車やメンテナンスをインナーガレージでするには照明が必要です。明かりがなくては、真っ暗で作業がままなりません。

駐車場の費用や固定資産税を抑えられても、インナーガレージを作ると初期費用がかかるデメリットがあります。また、インナーガレージのある住まいで快適に過ごすには、防音対策や臭い対策も重要なポイント。

きちんと対策しないとエンジン音が気になったり、排気ガスの臭いが家の中に入ってきてしまったりと、日々の生活にストレスを感じてしまうことも。

車の大きさをしっかり把握しておく

所有する車の車高や車幅をしっかり把握した上で、インナーガレージを設計しましょう。

車を買い換えることを見越して、可能であればスペースに余裕を持たせておくとよいでしょう。ぴったりサイズだと、買い替えた車がガレージに入らない……ということも。

「インナーガレージの大きさが狭いなら、リフォームして広くすれば」と考える人もいるかもしれませんが、インナーガレージは、家が完成したあとの増築や改修が難しい場合があります。必ずしもリフォームできるものではない、ということも知っておきましょう。

夢のインナーガレージをしっかりイメージしてみて!

ガレージの前で家族が洗車している

インナーガレージは便利で愛車をしっかりと守れる一方で、間取りや設備をきちんと考えないと、日々の生活に影響してしまうこともあります。排気ガスの臭いやエンジン音なども気を配る必要があります。

インナーガレージの住まいは、生活スペースが2階より上になるものが大多数。階段の上り下りの負担といったインナーガレージのデメリットも、よく検討しておきましょう。

インナーガレージの費用は、広さや、ガレージ内に棚を設けたりといった設備内容によって変わってます。通常の一般住宅を建てるのとは違った費用が発生することも、念頭に置いておきましょう。

自分の求めるインナーガレージをより具体的にイメージして間取りや費用を検討し、ぜひインナーガレージのある住まいを実現してください!