日本の未来の姿かも?アメリカのトレーラーハウス事情

「アメリカの家」と聞いて、どんな建物やイメージを思い浮かべますか?

きれいに手入れされた芝生の庭に、大きくて豪華な一軒家をイメージする人も多いのではないでしょうか。広々としたキッチンや、リビングの大きなテーブルを囲んで家族が食事を楽しむ光景は、アメリカの映画やドラマにもよく出てきますね。

ですが、そんな私たちのイメージとは異なり、この10数年でアメリカ人の「家に対する価値観」は大きく変化しているのです。

そのきっかけとなったのが、2007年から2009年にかけてアメリカで起こった「サブプライムローン問題」。アメリカ国内だけでなく、世界経済にも深刻な打撃を与えたこの金融危機によって多くのアメリカ人が家を失いました。

また、アメリカでは地震や洪水、ハリケーン、竜巻、山火事などの発生リスクが高い「ホットスポット」と呼ばれるエリアが国土全体の30%にも及ぶと言われ、これらの災害によって毎年多くの人が家を失っています。

「大きな家に住むことが豊かさの象徴」というかつての価値観から、「小さくても豊かな暮らし」へと人々の関心がシフトしていったのも、自然なことなのかもしれません。

このように人々の家への価値観が変化するアメリカで、ここ数年、注目を集めているのが「トレーラーハウス」です。

かつては低所得者層や貧困層のものというイメージがあったトレーラーハウスですが、最近ではトレーラーハウスに暮らす20代や30代の若い世代も増えています。

この記事では、アメリカのトレーラーハウス事情を紹介しながら、高い居住性のアメリカ製トレーラーハウスの魅力をお伝えします!

アメリカのトレーラーハウス事情

世界中から多くの人が集まる自由の国 アメリカ。

金融や経済、カルチャーなどさまざまな分野で世界を牽引する超大国ですが、その一方で「世界でもっとも経済格差が大きい国」という一面があることを知っていますか?

OECD(経済協力開発機構)の2018年調査によると、アメリカの相対的貧困率は17.8%です。この数字は世界のワースト4位。先進国ではもっとも高い貧困率で、自由の国 アメリカの負の側面が現れています。

特に、新型コロナウィルスの感染拡大以降は、失業者の急増によってアメリカの貧困問題はより深刻さを増しています。そして、このような経済的な不安が大きく影響を及ぼしているのが、住まいに対する価値観になります。

長引くコロナ禍は、アメリカの人々が「家」について考え直す大きなきっかけとなりました。立派なマイホームを持つことが豊かさの象徴と考えていた人たちが、本当に必要なものだけのシンプルでミニマルな暮らしを求めるようになったのです。

そうした背景に押され、近年のアメリカではトレーラーハウスを住まいとして選択する人が増えています。

コンパクトでコストパフォーマンスに優れ、移動できることが大きな魅力としてメディアなどに取りあげられると、20代や30代のミレニアル世代を中心に、人気が広まっていきました。

日本とは異なるアメリカの住宅事情

もともとアメリカの住宅市場では新築物件はごく少数で、中古物件が大半を占めています。マイホームといえば新築物件が当たり前の日本とは大きく異なり、アメリカでは実に8割以上の人が中古物件に住んでいます。

ところが、近年のアメリカではインフレで住宅価格が上昇し続けていて、中古物件の価格も高騰。コロナ禍で、将来への不安を抱く人も多く、現在のアメリカでは住宅ローンを組んで家を購入するのは、低所得者でなかったとしても簡単に決断できることではなくなっています。

豊かな人生を叶えるトレーラーハウス

そのような中で、アメリカ国内で広がりを見せているのがトレーラーハウス。

土地に縛られず、いつでも移動できるトレーラーハウスの特徴が、自由を愛するアメリカンスピリッツとみごとに合致したというわけです。

この「動く小さな家」がアメリカの住宅市場に与えた影響は大きく、トレーラーハウスを扱うメーカーの中には、これまでにない売り上げになったところもあります。

トレーラーハウスに住む人たちが集まる「トレーラーパーク」というコミュニティも、アメリカ全土に次々と誕生しています。トレーラーパークを利用すれば、家賃相場が格段に高いサンフランシスコやシリコンバレーなどの人気都市にも住むことができるのです。

このトレーラーパークは、新しいビジネスの可能性を秘めていると世界の投資家たちも注目しています。

アメリカで増えているワーキャンパーとは?

トレーラーハウスが増えているアメリカで、新たな社会現象となっているのが「ワーキャンパー(Workamper)」と呼ばれる人々です。

ワーキャンパーは、「Work(働く)」と「Camper(キャンパー)」を組み合わせた造語。キャンピングカーやトレーラーハウスで国内を自由に旅しながら、期間労働者として働く人を指します。

一見すると、仕事と旅がいっしょになった自由なライフスタイルにも思えますが、実はこのワーキャンパーは、もともとは白人の高齢者が大多数を占めていました。

その多くはいわゆる貧困層の人々で、新型コロナウイルス以前の2007年の金融危機をきっかけに急増し、アメリカの社会問題のひとつとなりました。

その背景にあるのが、アメリカにおける家賃相場の高騰です。

ニューヨークやサンフランシスコなどの大都市はもちろん、近年はそれ以外の都市部でも家賃が高騰しており、たとえば、アメリカ人家庭の6世帯に1世帯は、収入の半分以上を住居費が占めると言われています。

仕事で収入を得ても、高い家賃でお金が残らないという人が多くいる中で、定年退職し公的年金で生活している高齢者の状況はさらに深刻です。

ミレニアル世代にとってのワーキャンパーという生き方

ワーキャンパーはもともと、家賃を払い続けるのが困難になった人々がやむを得ず選択する手段でした。

ところが、20代や30代のミレニアル世代を中心に、トレーラーハウスを住まいとするライフスタイルが人気になると、ワーキャンパーへの印象も大きく変わってきました。家賃や住宅ローンの支払いに追われることなく、人生を楽しみたい!という人たちが、ワーキャンパーという生き方を積極的に選択するようになったのです。

特に、新型コロナウイルスでリモートワークが普及し、これまでは期間労働しか選択肢がなかったワーキャンパーも、パソコンとインターネット環境があれば、仕事を続けながら働く場所に縛られないという自由な生活を享受できるようになりました。

そして、このワーキャンパーという生き方は、「仕事も人生も、自分だけの家を持つという夢もすべてを叶えたい!」という、人生を楽しむことに貪欲な人々を中心に、今後も広まっていくといわれています。

アメリカンスタイルのトレーラーハウス事例

新しいアメリカンドリームのシンボルとして注目されているトレーラーハウスでの暮らし。

「マイホームといえば一軒家かマンション」という選択が一般的な日本人にとっては、ちょっと想像できないことではないでしょうか。

ですが、もしキャンプ場で見かけるキャンピングカーなどをイメージしているなら、実際のトレーラーハウスでの暮らしはいい意味で想像を裏切ってくれるはずです。

キャンピングカーとはまったく違い、トレーラーハウスは高い居住性で快適な空間です。

また、ひと口にトレーラーハウスといっても、アメリカ製とヨーロッパ製では異なった特徴があり、ユーザーによって好みが分かれます。両者の違いについて、簡単にまとめてみましょう。

アメリカ製トレーラーハウス

アメリカ製のトレーラーハウスは、戸建の住まいに引けを取らない快適性を重視しているのが特徴です。

室内は空調完備で、寒さや暑さへの対策も万全。季節を問わずに快適に暮らすことができます。また、内装はカントリー調のものが多くなっていますが、メーカーによってはクールモダンな雰囲気なものも。

ただし、アメリカ製トレーラーハウスは、ヨーロッパ製と比べて、車軸が後方についているため、牽引する車への負担が大きくなります。そのため、トレーラーハウスの大きさによっては、ヘッドカー(牽引する側の車両)にはパワーと丈夫な車体が求められるというわけです。

そんなアメリカ製トレーラーハウスのなかでも、イチオシは「キャンピングトレーラーの最高峰」と称される「エアストリーム」。

曲線を描いたフォルムと圧倒的な存在感のシルバーボディは、人とは違う個性を求める人にぴったりです。リフォームしながら長く使い続けているユーザーも多く、自分らしい暮らしができるトレーラーハウスです。

価格はモデルによっても異なりますが、アメリカ国内での販売で600万円〜1,200万円(円換算)ほど、日本で入手する場合は700万円〜1,400万円ほどになります。

ヨーロッパ製トレーラーハウス

一方、ヨーロッパ製のトレーラーハウスの特徴は、“旅すること”を大切にして作られていること。

寒さが厳しい冬のヨーロッパでも快適に過ごせるように断熱性にこだわり、内装はモダンでスタイリッシュ。天気が悪い日でも家族や友人との時間をゆったりと楽しむことができる空間。もちろんキッチンまわりも充実していて、本格的な料理を楽しむこともできます。

普段の生活はもちろん、人を招いてもてなすことが好きな人は、ヨーロッパ製のトレーラーハウスとの相性抜群でしょう。

また、ヨーロッパ製のトレーラーハウスは、アメリカ製とは逆に、車軸が前方に設置されているためヘッドカーの負担が抑えられます。トレーラーハウスのサイズにもよりますが、小型のものであれば2,000cc以下の車両でも十分に牽引できます。

ヨーロッパ製のトレーラーハウスでのおすすめは、ドイツ KNAUS社の「Sport500KD」。

狭い日本の道路でも走りやすく、本格的なトレーラーハウス生活を楽しむことができます。

価格も、モデルや仕様によって差がありますが、大まかな目安としては現地では約220万円〜300万円(円換算)、日本では400万円〜500万円と、コストパフォーマンスに優れているのも嬉しいポイントです。

トレーラーハウスは日本でも買える?

販売店の数はキャンピングカーと比べてもかなり少ないものの、日本でもトレーラーハウスを扱っている会社があります。

ただし、サイズの大きなアメリカ製やヨーロッパ製のトレーラーハウスは、日本製のコンパクトなタイプと比べると価格も割高。さらに、国外から取り寄せるため輸送費が上乗せされるケースも多く、気軽に車を買う感覚で……というわけにはいきません。

トレーラーハウスを検討しているなら「スマートモデューロ」という選択も

トレーラーハウスの暮らしに魅力を感じても、「移動しながら暮らす」というライフスタイルは、私たち日本人にとってはまだまだハードルが高く感じますね。

ですが、多くの物に囲まれた生活を見なおして、本当に必要なものだけを厳選したミニマルな暮らしは、私たちの心に大きな開放感をもたらしてくれるはずです。

そんな暮らしに憧れている人には、トレーラーハウスの魅力がぎゅっと詰まったムービングハウス「スマートモデューロ」をおすすめします。

新しい住まいのかたち「スマートモデューロ」

スマートモデューロ(以下、スマモ)はムービングハウスの一種で、その名の通り「動かせる家」です。

トレーラーハウスが車両としての要素が強い「住める車」なのに対して、スマモは家として高い機能性を備えた「動かせる家」というわけです。

トレーラーハウスのようには簡単に移動できないものの、一般住宅と変わらない快適な居住性なのがスマモの特徴です。クレーンとトレーラーがあれば設置場所を移動することもでき、転勤やライフスタイルの変化などで、引越しが必要になっても住み続けることができます。

外観からはコンテナハウスのようにも見えますが、スマモは枠組みも壁も床もすべてに木材を使用しています。木の香りに包まれた室内は、快適な居心地の空間になっています。

もちろん、キッチンやトイレ、電気や水道などのライフラインを引くことも可能で、間取りも自由。工場で完成した建物を現地に運んで設置するので、導入も簡単で、短い工期で利用できます。

スマもであれば、サイズや内装によってはトレーラーハウスよりもリーズナブルに、憧れのシンプルで小さな暮らしを実現できるというわけです!

スマモの魅力をより詳しく知りたいという人は、スマートモデューロの特徴や価格などを紹介したこちらの記事もぜひご覧ください。

必要なものだけを厳選して、軽やかな人生を!

金融危機や格差社会というアメリカの暗い側面から生まれたトレーラーハウスですが、今では人生を積極的に楽しむ最高の存在として人気が広まっています。

生活空間をコンパクトにして、人生の質を上げる。

思い切って本当に必要なものだけを手元に置き、軽やかで自由な人生を手にしてみませんか?