吹き抜けは快適?吹き抜けのメリットやデメリットを詳しく紹介
心地よい開放感を感じられる吹き抜けがある家に、憧れを持つ人が多くいます。私もそんな一人です。
でも、吹き抜けのデメリットについてもきちんと知っていますか?
知らずに吹き抜けのある家にしてしまい後悔した……なんて話もちらほらと。せっかく吹き抜けを作っても、快適に過ごせない建物に住み続けるなんて考えたくないですよね。
今回は「吹き抜けのある家」のメリットやデメリットを、実例と合わせて詳しく紹介します。
住まいの新築だけではなく、リノベーションの際に吹き抜けを作ることもできます。憧れの吹き抜けを検討してみましょう!
そもそも「吹き抜け」とは?
吹き抜けとは、複数の階にまたがって連続した空間のことをいいます。たとえば、1階の天井と2階の床を無くして一続きの空間にすることで、吹き抜けが完成します。
マンションのエントランスホール、戸建てのリビングや玄関、階段などに設けられるのが一般的です。
吹き抜けにすると、天井が高くなって圧迫感が抑えられ、開放感のある空間になります。また、採光がより多く取れるので、日中は外から入ってくる光だけで十分な明るさを確保することもできます。
吹き抜けのある家のメリット
建物に吹き抜けがあることによって、さまざまなメリットが生まれます。
そのようなメリットを感じて、自宅に吹き抜けを作ろうかどうかを検討している人も多いでしょう。まずは吹き抜けのメリットを確認しておきましょう。
自然光で室内が明るくなる
吹き抜けにすると建物内に自然光が入りやすくなり、室内が明るくなります。
吹き抜けのある家では2階に大きな窓を設置するのが一般的で、そこから入った光が吹き抜けを通して、部屋の奥まで取り込めるというわけです。
都市部では住宅が密集して明るさを確保できない場合もありますが、吹き抜けがあれば高い位置から光を取り入れられるため、明るい室内になります。日中は電気を点けなくても明るさを確保でき電気代も節約できるでしょう。
空間が広がり開放的
吹き抜けがあると天井が高くなり、開放感のある部屋になります。同じスペースであっても天井が高い方が視界が広がり、実際よりも広く見える効果があります。
吹き抜けを作ると壁も少なくなるため、広々と感じられるでしょう。吹き抜けの空間に窓を付ければ、視界が窓の外にまで抜けてより広く見えるようになります。
吹き抜けがあることで、圧迫感がなくなり開放的で快適な空間を生み出せるのです。
コミュニケーションが取りやすい
吹き抜けは1階と2階が繋がっているため、コミュニュケーションが取りやすいのも特徴です。
食事の用意ができたときなども、1階のキッチンやリビングから声をかければ2階まで声が届くので、いちいち階段を上がる必要はありません。反対に、2階からも声をかけやすく、会話の頻度も自然に増えるはず。
吹き抜けがあれば、お互いの気配を感じやすく家族が顔を合わせる機会も多くなります。ちょっとした変化にも気づきやすくなりますね。
高いデザイン性
開放感のある吹き抜けは、部屋全体をおしゃれに見せられます。天井にお気に入りの照明を付けたり、大きな窓にカーテンを付けたりと自分らしさを演出することも可能です。
デザイナーズハウスにも採用されることも多く、吹き抜けがあることで家の魅力をアップできます。
風通しがよくなる
吹き抜けがあると窓から窓へと空気が流れるため風通しがよくなり、空気が滞留するのを防げます。冬はストーブ1台で部屋全体を温めることも。
天井にシーリングファンを設置すれば、空気がより循環されて快適な空間を維持できます。
吹き抜けのある家のデメリット
吹き抜けにはよいことばかりではなくデメリットもります。デメリットも正しく理解して吹き抜けを作るかどうかを決めましょう。
掃除がたいへん
吹き抜けがある建物の多くは2階部分に大きな窓があり掃除が大変です。
掃除するためには高所用の掃除道具を用意したり、業者に頼む必要があったりと、掃除に費用や労力がかかってしまうこともあります。
また、天井部分が高くなるので、取り付けたシーリングファンの掃除も同じように難しくなります。照明も高い位置にあるので、電球交換や掃除も同様です。
エアコンが効きにくく光熱費が高い
温かい空気は上に、冷たい空気は下に集まります。高さのある吹き抜けは、冷暖房が効きにくくて光熱費が高くなる可能性もあります。
特に冬場は1階部分に冷たい空気が滞留してしまい、暖房を強めても温めた空気がどんどん上へいってしまい部屋がなかなか暖まらないことも。吹き抜け空間の容積も大きいので、全体が快適な室温になるのにも時間がかかります。
対策としては、シーリングファンやサーキュレーターで空気を循環させたり、床暖房を設置したりするのが効果的です。
ただし、建物の断熱性や密閉性によっても快適な室温を保てるかどうかは大きく変わってきます。心配な場合は家づくりの段階からしっかりと検討するようにしましょう。
音や匂いが広がる
1階と2階の空間がつながっている吹き抜けは、音や匂いがどうしても伝わりやすくなります。
静かな空間にしたい寝室などは防音対策をしたり、換気扇や防臭効果のある壁紙にしたりといった対策もあります。キッチンを半個室して、匂いが広がりにくくするといった手もあります。
家を建ててからでは対策が難しくなるので、計画の段階でしっかりと考えておきましょう。
耐震性が下がる
建物の床は、耐震性に関して重要な役割を果たします。床のない吹き抜けは、大きな窓や柱が少ないといったこととあわせて、耐震性に影響することもあります。
吹き抜けがあってもしっかりと耐震強度を保ちたい場合は、耐震等級の基準を高く設定している工務店やハウスメーカーを選ぶと安心です。
吹き抜けに向く家、向かない家
吹き抜けはあらゆる土地や建物に向いているとは限りません。また、家庭によっても家族の関わり方はさまざま。吹き抜けがよいと思う家庭もあれば、暮らしにくいと感じる家庭もあるのです。
向き不向きは表裏一体。自分の暮らしたい土地や、家族がどう考えているかなどきちんと確認しておかないと、結果的に暮らしにくい住まいになってしまうこともあります。
吹き抜けが向いている家
吹き抜けが向いているのは、室内を明るくしたい、家族のコミュニケーションがしやすくしたい、そして温度管理がしやすい場合などがポイントになります。
住宅密集地に家を建てる場合や、採光が難しい向きに家を建てる場合はどうしても日当たりが悪くなってしまいますが、吹き抜けを設ければ、高い位置から光を取り入れることができ室内の明るさを確保しやすくなります。
また、吹き抜けがあると室内の室温調整が難しくなるため、寒暖差がそれほど厳しくない地域に住んでいる人におすすめです。
吹き抜けがあると、会話や音が周りの部屋にも聞こえやすくなってしまいます。来客が少なく、家族で過ごす時間が多い場合や、家族とのコミュニケーションが多いオープンな家庭であればそれほど気にならないでしょう。
狭さを感じる空間だとストレスを感じることも多いはず。吹き抜けを作って、開放的に広々と暮らしたい家族にも最適です。
吹き抜けがあれば2階からでも下の様子を見ることができます。子どもや親の様子が見える方が安心と考えている人にも吹き抜けは向いています。
吹き抜けが向いていない家
吹き抜けが向いていないのはプライバシーを重視したい場合や、コスト、部屋の広さがポイントになります。
吹き抜けがあるとどうしても話し声や様子が筒抜けになってしまいます。プライバシーを大事にしたいなら、吹き抜けが無い方がお互いに快適に暮らせる場合もあるでしょう。
吹き抜けの窓は高い場所にあり、カーテンの開け締めが手間なこともあります。そのため室内の様子が外から見える可能性もあります。
吹き抜けは、住んでからもメンテナンスや光熱費などのコストがかさむことも。
空間が広いのでなかなか冷暖房が効かず、快適な室温にするのに時間がかかったり、空気が滞留してしまったりする可能性もあります。吹き抜けを北側に配置した場合には湿気やカビに注意する必要がありますし、梅雨の時期は不快に感じてしまうことおあるかもしれません。対策は可能ですが、定期的なメンテナンスが必要なため費用がかかってしまうため注意が必要です。
また、空間が広いと音や匂いも伝わりやすいので、それがストレスのもとになることも。
吹き抜けを作ってしまうと、その分、部屋や収納スペースが減ってしまい、家族の人数や荷物が多い場合には不便を感じることもあるかもしれません。間取りや広さは後からなかなか変えられないので、事前にしっかりと家族で話し合っておきましょう。
吹き抜けはよいところばかりに目がいきがちですが、なにを重視するかによっては向いていないこともあることを頭にとめておきましょう。
吹き抜けのある家の事例
吹き抜けのある住まいの事例を紹介します。実際に建てられた家を見ると、さらに夢が広がりますね。
吹き抜けをボルダリングジムに
趣味のボルダリングを吹き抜けに取り込んだ住まい。
趣味のボルダリングを家でも楽しめるように、吹き抜けを使ってクライミングウォールを設置しています。クライミングウォールは2階まで続いており、子どもたちの遊び場から本格的なトレーニングまで可能。
吹き抜けで明るく家族が集まりやすい広いリビングは、子どもたちも思いっきり走り回って楽しめる、素敵な空間になっていますね。
メーカー名:大輪建設株式会社
掲載サイト:重量木骨の家
参考:草津市 趣味のボルダリングを楽しむ木の家
吹き抜けで明るく開放的な狭小住宅
18.25坪の狭小住宅の住まいです。
周りは住宅地ですが、吹き抜けがあることで明るく開放感のある室内に。間取りは3LDK。狭小住宅のデメリットを感じさせない、自然の温もりがあふれ、家族の笑顔が絶えない住まいですね。
メーカー名、掲載サイト:株式会社BLISS
参考:吹き抜けのある明るい狭小住宅
吹き抜けで部屋全体が明るく開放的に
大きな吹き抜けと存在感のあるスケルトン階段が特徴の住まいです。
2LDKと部屋数は多くありませんが、吹き抜けがあることで部屋全体に光が降り注ぎ、温かい空間に。おしゃれな内装やインテリアと吹き抜けが相まって、住まいの魅力が格段にアップしています。
メーカー名、掲載サイト:株式会社大成住建
参考:スケルトン階段と大きな吹き抜けのある家
吹き抜けと壁の本棚がベストマッチ
吹き抜けの開放感とウインドウベンチ、壁一面の本棚が特徴の住まいです。
高い位置まで本棚がありますが、吹き抜けとあわせることでまったく圧迫感を感じさせません。本好きの家族には最適で、インテリアともマッチしたおしゃれで機能的な住まいになっていますね。
メーカー名:ニケンハウジング
掲載サイト:重量木骨の家
参考:壁一面の本棚とおっきな吹き抜け!大空間リビングと、毎日の暮らしを快適にすごす家
吹き抜けのある家の価格帯
「吹き抜けを作ると建築費用が高くついてしまうのでは?」「床面積が狭くなってしまうから広い土地が必要?」などと不安や疑問もありますよね。
ここでは、参考として実際に吹き抜けのある住まいの価格帯や延床面積などの事例を紹介します。
吹き抜けと全館空調で快適な生活を
開放感と明るさ、そして暖かくて快適な住まいをということで建てられた住まい。
吹き抜けを作ることで、このような理想を実現しています。間取りは3LDKに裏小屋収納。
全館空調と吹き抜けで、冷暖房が効くのに時間がかかる悩みも解消しています。また、2階の寝室には内窓を設置し、1階の家族ともコミュニケーションが取れるように。長年の夢を実現し、家族の絆もさらに深まりそうですね。
価格:1,730万円
延床面積:119.24㎡
メーカー名:桧屋住宅
参考:開放感と光に満ちた吹き抜けで、明るい暮らしをエンジョイ!
吹き抜けの魅力は明るさと解放感だけじゃない!?子どもの遊び場に大変身
リビングに吹き抜けを作った住まいの例です。
吹き抜けの開放感や明るさの魅力を取り入れながら、吹き抜け部分にロープを張って子どもの遊び場に。子どもたちが高い位置で楽しく遊べるだけでなく、お互いの様子も見えるため気配を感じながら生活できます。
間取りは2LDKにロフトやウッドデッキ付き。大人だけでなく子どもたちも大満足の住まいになっています。
価格:2,130万円
延床面積:102.68㎡
メーカー名:優樹工房
参考:楽しいアイデアで子どもがワクワク、個性を表現した自然素材の家
伝統の日本家屋に大空間の吹き抜け
ゆったりした日本家屋が残る地域に建てられた、木をふんだんに使った新しいながらも伝統を感じる住まい。
以前の家が昼間でも電気を点けなければいけないほど暗かったことから、明るい家を希望していたとのこと。吹き抜けで明るい光が降り注ぎ、屋根の形状そのままの船底天井が目を引きます。
年をとってからも快適に自分らしく暮らせそうな住まいですね。
価格:3,500〜3,999万円
延床面積:249.66㎡
メーカー名:川口建設
参考:様々な無垢材が織り成す豊かな空間。伝統の技と強固な構造、高い断熱性を兼備