コンテナを使って倉庫や物置、ガレージを設置!注意点やメリットのまとめ
10年ほど前に家を建てました。概ね理想通りの住まいが完成して快適に生活をしていますが、一点だけ後悔していることを挙げるとすると、収納スペースが少ないということ。
子どもたちが成長するにつれて荷物も増え、常に残すものと手放すものとの選択を迫られる日々。それはそれで、余分な物を持たずにすっきりと暮らせて良いのですが、もう少し収納力を増やすことができたら何かと便利だろうなと思うわけです。
そこで最近考えているのが、屋外収納スペースをつくること。倉庫や物置なら空いている敷地に設置するだけなのでリフォームよりもずっと手軽で、アウトドア用品やレジャー用品、ガーデニング用品など、家で保管するのが気になるものも収納しておくのにも便利ですよね。
倉庫や物置にもいろいろなサイズやデザインのものがあるのですが、私が一番気になったのがコンテナを倉庫として利用する方法です。これなら荷物を保管するだけでなく、自転車やバイクのガレージとしても使うことができそうですよね。なによりも、物置らしからぬ個性的な見た目に心を奪われてしまった私です。
ところが、コンテナについていろいろと調べてみてみると、コンテナを倉庫として利用する際にはいろいろと注意点があることがわかりました。
例えば、コンテナの種類によっては、倉庫には使えないものもあり、知らずに設置をしてしまうと違法建築とみなされてしまうものもあります。見た目や大きさだけで即決して、購入後に後悔をすることがないように、コンテナについての基礎知識はきちんと抑えておくべきだなと思ったわけです。
というわけで今回は、倉庫として使えるコンテナの魅力や選ぶ場合の注意点、費用の相場などついて、一緒に勉強していきたいと思います。
倉庫として使えるコンテナ、使えないコンテナ
コンテナを倉庫や物置として利用する際に、最も気をつけなくてはいけないのが、どのタイプのコンテナを選ぶのかということです。
コンテナは大きく分けて「海洋輸送用コンテナ」と「建築用コンテナ」の2つの種類があるのをご存知でしょうか。どちらも新品だけでなく中古品が出回っていますが、まずはそれぞれの特徴をしっかりと理解しておくことが大切でしょう。
海洋輸送用コンテナと建築用コンテナの違い
海洋輸送用コンテナと建築用コンテナの最も大きな違いは、使われている素材と構造です。
海洋輸送用コンテナの素材は主にアルミ、スチール、FRPの三種類ですが、建築用コンテナは日本の建築基準法によって、JISに規格されたJIS鋼材で作ることが義務付けられています。鋼材を作る工場や溶接を行う工場についても、JIS認証を受けている必要があるなど、建築用コンテナには厳しい基準が設けられているのです。
また、構造についても、海洋輸送用コンテナは一般的に「パネル構造」が採用されているのに対し、建築用コンテナは梁や柱などの枠で支える「鉄骨ラーメン構造」が原則となっています。これは、壁で支えるパネル構造の場合、窓や扉などの開口部を設けてしまうと一気に強度が下がってしまい、建物としての安全性が確保できないためです。
建築確認申請について
コンテナを利用して倉庫や物置を設置する際に抑えておかなくてはいけないルールのひとつに、「建築確認申請」というものがあります。マイホームを建てた方なら一度は耳にしたことがあると思いますが、建築確認申請というのは、その建物が建築基準法やその他のさまざまな条例に沿ったものであるか審査を受けるための手続きのことです。
日本では「建築物」に該当するものは全て建築基準法の適用を受けるため、建築確認申請が必要になります。この建築物というのは、「土地に定着する工作物のうち、屋根および柱もしくは壁を有するもの」と定義されていて、国土交通省が明示した見解によると、コンテナハウスも「随時かつ任意に移動できない」ため土地に定着する工作物とみなされ、建築物に該当するということです。
ただし、建築物に該当する場合にも例外があり、「10㎡以下の建築物であること」と、「立地が防火・準防火地域以外であること」という2つの条件を満たしている場合には建築確認申請は不要となります。
建築確認申請が必要なのに手続きをしていない場合には、違法建築とみなされてしまうこともあるため、まずはコンテナを設置する地域の役所に確認をしておくのが安心です。
倉庫や物置に使えるのはどのコンテナか?
コンテナには海洋輸送用コンテナと建築用コンテナの2つの種類がありますが、どちらのコンテナが倉庫や物置に使えるのかは、「建築確認申請」が必要かどうかで変わってきます。
「コンテナ」と聞いて多くの方が思い浮かべるのは、船で運ばれてくる海洋輸送用コンテナだと思いますが、海洋輸送用コンテナは強度や構造面で確認申請が通らない可能性が高いと言われています。
そのため、海洋輸送用コンテナは建築確認申請が不要な場合のみ、倉庫や物置として利用することが可能です。反対に、建築専用コンテナは建築確認申請が必要かどうかに関わらず、どちらのケースでも利用することができます。
コンテナの規格・サイズ・相場
倉庫や物置には建築用コンテナを用いるのが一般的ですが、ここではそれ以外のコンテナについてもその特徴や種類について見ていきましょう。
コンテナの規格・サイズ
海洋輸送用コンテナは、国際的な標準規格(ISO規格)によってサイズが決まっています。その中でも最も流通しているのが、20フィートと40フィート、40フィートハイキューブ(背高)の3種類です。
ISO海洋輸送用コンテナのサイズ
・20フィート/長さ6,058mm×幅2,438mm×高さ2,591mm
・40フィート/長さ12,192mm×幅2,438mm×高さ2,591mm
・40フィートハイキューブ/長さ12,192mm×幅2,438mm×高さ2,896mm
建築用コンテナについても、主に流通しているのは20フィートと40フィートの2種類で、幅と長さはISO海洋輸送用コンテナの規格と同じになっています。高さについては、人が中に入ることを想定して天井高を出すために、ハイキューブタイプの高さが採用されています。
建築用コンテナのサイズ
・20フィート/長さ6,058mm×幅2,438mm×高さ2,896mm
・40フィート/長さ12,192mm×幅2,438mm×高さ2,896mm
コンテナの相場
コンテナの価格はサイズや種類、新造か中古かによっても大きく異なります。
海洋輸送用コンテナのなかでも最も流通しているドライスチールコンテナの場合、サイズごとの価格は以下がひとつの目安になります。
20フィート
・新造 530,000円〜650,000円
・中古 200,000円〜400,000円
40フィート
・新造 820,000円〜1,100,000円
・中古 280,000円〜620,000円
40フィートハイキューブ
・新造 1,000,000〜1,350,000円
・中古 500,000円〜850,000円(中)
一方、建築用コンテナの場合、中古は建築確認申請が通らないことが多いため、基本的には新造品を使うのが一般的です。価格はメーカーによっても異なりますが、20フィートで400,000円〜800,000円、40フィートで700,000円〜1,400,000円が相場となります。
海上輸送用コンテナの種類
ちなみに、海上輸送用コンテナには以下のようにさまざまな種類があるのをご存知でしょうか。参考までに、それぞれの特徴を簡単に紹介します。
ドライコンテナ
コンテナのなかでも最も普及しているタイプが、この「ドライコンテナ」です。一般的な貨物や温度管理のいらない危険品などを輸送する際に使われます。陸上では倉庫として使用することも可能です。
通風コンテナ
ドライコンテナにベンチレーターと呼ばれる通風口を取り付けたタイプで、「ベンチレーターコンテナ」とも呼ばれます。コンテナ内部の空気を換気することができ、野菜や果物、植物などの運搬に使われます。
特定貨物コンテナ
その名の通り、動物や自動車など特定の貨物を運ぶことに特化したコンテナを指します。
サーマルコンテナ
冷蔵コンテナ、保温コンテナ、断熱コンテナとも呼ばれる種類のことです。冷却や加温のための機械的装置は付いていませんが、コンテナ本体を断熱材で覆うことで貨物の温度を維持します。
オープントップコンテナ
ドライコンテナの屋根部分が無いタイプのコンテナです。高さのある荷物などを運ぶのに使われます。輸送中は天井部分にシートなどをかけて貨物が濡れないようにします。
開放型コンテナ
天井や側壁をなくしたコンテナのことで、フラットラックコンテナとも呼ばれています。大型の重機や木材、インゴットなどの重量のあるものを運ぶのに使われます。
タンクコンテナ
食品や油、化学薬品などの液体貨物を運ぶためのタンクが備え付けられたコンテナです。種類によっては高圧ガスや保温・加熱装置などが付いているものもあります。
レンタルという選択肢(主な地域のスペース別相場)
ここまでコンテナの種類やサイズ、設置の条件などについて詳しく説明してきましたが、いかがでしたか?
倉庫は必要だけど、コンテナは建築基準法や条例についても配慮しなくてはいけないためハードルが高いと感じた方も多いのではないでしょうか? そのような方には、もっと気軽に収納スペースを確保できる「レンタル」という選択肢もおすすめです。
例えば、トランクルーム。
倉庫業者や不動産業者が提供しているスペースに荷物を保管・収納しておくことができる欧米発祥のサービスで、利用者は毎月の利用料を払うことでそのスペースをレンタルすることができます。
近年では日本でも利用者が増えているトランクルームですが、コンテナを倉庫にしたいと考えている方におすすめなのが、屋外型トランクルームに分類される「コンテナトランク」です。
コンテナトランクはその名の通り、海洋輸送用トランクを空き地などに設置して、収納スペースとして貸し出しているもので、契約をすることで基本的には24時間365日いつでも荷物を出し入れすることができます。
コンテナトランクは雨や風から荷物を守ることはできますが、空調設備はついていないのが一般的で、湿度や温度を一定に保つことはできません。そのため、保管するものはアウトドア用品やレジャー用品をはじめ、湿度や温度の影響を気にしなくても良いものに限られますが、屋内型トランクルームと比べてリーズナブルに利用できるというメリットがあります。
コンテナトランクをレンタルするといくらかかる?
コンテナトランクの料金はコンテナの種類やサイズ、立地条件によっても異なり、一般的には都市部の方が地方に比べて割高です。
では、実際にコンテナトランクを利用すると、どのくらいの費用がかかるのでしょうか? 代表的ないくつかの地域ごとに、広さ約1.6畳のコンテナトランクをレンタルした場合の、1ヶ月あたりのレンタル料の目安を見比べてみましょう。
①東京
・八王子市/約7,000円
・江東区/約9,000円
・渋谷区/約20,000円
②愛知県名古屋市
・北区/約14,000円
・緑区/約8,200円
③京都府
・西京区/約7,200円
④長野県
・松本市/約6,600円
⑤大阪府
東大阪市/約8,300円
泉佐野市/約8,800円
コンテナトランクをレンタルしている企業おすすめ5社
日本でも急速に普及しているトランクルーム。自宅の収納力をカバーしてくれる頼もしい存在ですが、種類が多すぎてどのように選んだら良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。
というわけで、ここではコンテナトランクをレンタルしているおすすめの企業をいくつかピックアップしてご紹介していきます。
ハローストレージ
最初に紹介するのは、コンテナ・ストレージ業界でトップシェアを誇る、エアリンク株式会社の「ハローストレージ」です。
<参考:ハローストレージ幕張本郷>
全国に95,000室の屋外コンテナを展開していて、屋内コンテナと合わせた利用者はおよそ6万人。圧倒的な規模の大きさで、必要な場所に最適なコンテナを見つけることができます。契約者専用のコールセンターやウェブ専用アプリなど、アフターフォローや契約のしやすさも大きな魅力です。
オレンジコンテナ
次にご紹介するのは、コインパーキングや駐輪場、ウィークリー・マンスリーマンションなどの経営や経営サポートなどを行うアパルトマンイクシーズ株式会社が運営する「オレンジコンテナ」です。
<参考:オレンジコンテナ>
関東・東海エリアを中心に、大阪、兵庫、滋賀、広島、愛媛、福岡と広い地域で展開していて、屋外型コンテナの他に、電源付きコンテナ、バイクが収納できるタイプやサーフボード専用のトランクなど、サイズも種類も豊富に揃っています。
ドッとあ~るコンテナ
家庭用物置やストレージの管理及びレンタル事業を展開する株式会社ユーティライズ。創業時から貨物用コンテナを利用したトランクルーム事業に注力していて、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城の関東圏を中心に全国402箇所、16,736室のトランクルームを運営しています。コンテナ管理戸数はコンテナ・ストレージ業界で第3位。
<参考:ドッとあ~るコンテナ>
長期利用割引やウェブ契約割引をはじめ、エリアごとにさまざまなキャンペーンを実施。用途に応じて最適なコンテナを見つけることができます。また、監視カメラ付きで警備員による巡回も行われていて、セキュリティ面でも安心です。
アペックスストレージ
不動産事業をはじめ、ストレージ事業、自動販売機設置サービスなどを展開する、株式会社アペックスホームズ。スタッフ全員が整理収納アドバイザー2級以上を取得しているユニークな会社で、その主力事業として2000年に誕生したのがトランクルームブランド「アペックスストレージ」です。
アペックスストレージの屋外型トランクルームは、すべて建築基準法に適合した高品質なコンテナを使用しているのが特徴。照明や防犯カメラなども標準装備しているため、安心して荷物を預けることができます。
グーボックス
神奈川県横浜市で、トランクルーム事業、バイク駐車場事業、レンタルオフィス事業などを展開する株式会社メイクリーン。「あなたの街のレンタル倉庫」をスローガンに掲げ、地域密着型のコンテナトランク「グーボックス」を提供しています。
屋外型トランクルームは広々とした敷地に設置されており、車の乗り入れが可能なため荷物の出し入れの際も便利です。横浜、川崎、東京とエリアは限定されていますが、リーズナブルな価格設定が人気です。
まずは試して。それから購入を検討してみては?
自宅の収納スペースの延長として活用できるコンテナ。サイズも種類も豊富だから、用途に応じた使い方ができるもの魅力的ですよね。
とはいえ、サイズの大きなものですから、実際に設置をするとなるとそれなりに大掛かりな作業が必要になります。また、収納しようと思っていた荷物とコンテナとの相性もきちんと見極めることが大切で、湿度や温度の影響をどのくらい受けるのか、使い勝手はどうかなども事前にチェックしておきたいですよね。
というわけで、コンテナを倉庫や物置として利用する場合には、即決してから後悔することがないように、まずはレンタルという方法からスタートしてみるのが良さそうです。