【ビルトインガレージをご検討の方へ】メリット・デメリットや税金面を詳しく解説
自宅から徒歩、数秒で車に乗れる上に防犯対策にもなるビルトインガレージ。
好きな時に洗車や車をいじることができてしまうなんて、車好きにはたまりませんよね。
そんな、ビルトインガレージを検討しているみなさん。
ビルトインガレージのメリット・デメリットだけでなく、税金面で安くすることができるかもしれないってご存知ですか?
今回はビルトインガレージの基本的な部分から、お金に関わる大事なポイントまで、詳しくご紹介します!
愛車と家族の距離がグッと縮まるビルトインガレージ
車やバイク好きに愛されるビルトインガレージ。どういったものを指すのでしょうか?
ビルトインガレージとは「建物の1階部分に車を収納するスペースを組み込み、シャッターやドアで閉めることができるガレージ」です。インナーガレージとも呼ばれています。
土地が広く取れる海外では別棟にガレージを建てることが多いですが、狭小地に家を建てることが多い日本ではビルトインガレージの人気が高いです。
車やバイクのメンテナンスを好きなときにできたり、自慢のマウンテンバイクをディスプレイしたりするなど、ビルトインガレージがあると愛車との距離をぐっと近づけることができます。
一方で、ビルトインガレージを車庫の用途にプラスして、多目的に活用する人も増えています。
例をあげると
- DIY用品、アウトドア用品、楽器などを置いた、趣味のスペースとして。
- 書斎やソファーを置き、愛車を眺めながらのくつろぎのスペースとして。
- 子どものプールや遊び道具を置いた、プレイルームとして。
などなど、様々な用途に活用されていることがわかります。
ビルトインガレージがあると生活がより豊かになりそうです。
想像するだけでわくわくしてきますね……!
ビルトインガレージのメリット6つ
ビルトインガレージにはどんなメリットがあるのか、ご紹介します。
①風雨などから愛車を守れる
日頃から大切にメンテナンスしている愛車、傷ついたり、頻繁に汚れたりするのは避けたいものです。
屋根と柱だけで作られ壁のないカーポートと違い、ビルトインガレージは上部や側面に壁があり、シャッターやドアで密閉してあります。
つまり、ビルトインガレージは壁面ですっぽり愛車を覆うので、雨風、雪、黄砂、紫外線などの外的要因から愛車を守ってくれるのです。
ビルトインガレージは台風や雪が多い地域にお住まいの方に特におすすめです。
②自宅とつながっていて 、出かけやすい
雨が降っていると傘をさして車庫まで行くのが億劫になるとき、ありませんか?
ビルトインガレージは、自宅とつながっているので、雨が降っているときに濡れる心配がありません。
買い物をして重い荷物がある場合でも、すぐに自宅内に荷物が運べるので、便利ですね。
小さいお子さんやお年寄りがいる家庭では、ベビーカーや車いすを出して遠くのガレージまで行かずに済みますので、特にメリットが感じられるはずです。
③狭い土地でも駐車場を確保できる
都心などの狭い土地に一軒家を建てる場合、敷地にガレージを作る余裕がないケースが多く見られます。
そんな場合でもビルトインガレージなら、愛車が身近にある生活をあきらめる必要はありません。
離れた場所に月極駐車場を借りなくてよくなるので、駐車場代の節約にもなりますね。
④盗難やいたずらを防止できる
愛車が盗難にあったら……なんて考えると心配でたまりませんよね。
ビルトインガレージはシャッターで開口部を閉めることができますので、外部からの侵入がしにくい構造になっています。
大事な愛車に傷をつけられたり、パンクの被害にあったり、ましてや盗難されるという被害を防ぐことができるのです。希少なヴィンテージカーや高級車をお持ちの方におすすめです。
⑤趣味のスペースとして楽しめる
愛車いじりが趣味の人にとっては至福の時間が過ごせるビルトインガレージ。
それだけではなく、DIYの道具やアウトドア用品を置いたり、子どもの雨の日の遊び場となったり、多彩な用途に使えるのがビルトインガレージの魅力です。
⑥税金が安くなる可能性も
ビルトインガレージ部分の面積が建物の延床面積から控除されるケースがあります。
条件があるので全てのビルトインガレージに当てはまるとは限りませんが、家屋の固定資産税評価額がその分安く計算されることになるのです。
ビルトインガレージのデメリット3つ
ビルトインガレージのデメリットもチェックしておきましょう。
①1階の居住スペースが減ってしまう
ビルトインガレージは1階に作る場合は、どうしてもその分1階部分の居住スペースは狭くなってしまいます。
狭い敷地に建てる家の場合は1階が丸ごと駐車場となるので、リビングやキッチン、バスルームを2階以上に作らなくてはいけなく、間取りの自由度は低くなってしまうのがデメリットです。
②騒音や匂いに注意
1階部分にガレージがあるため、車のエンジン音やシャッターの開け閉めの音が室内に響きやすくなります。
そのため音が眠りの妨げにならないよう、寝室はなるべくガレージから離れた場所に設置したほうがよいでしょう。
またビルトインガレージは密閉されており排気ガスの匂いが籠りがちになるので、換気ができるよう対策を行わなくてはいけません。
③建築費が高くなることも
ビルトインガレージは1階の間口を広く取り、車を入れるための空間を作ります。
ガレージ部分は柱や壁を減らして設計されるため、頑丈な構造にしなければ歪みや傾きが出てしまいます。
耐震対策や強度を補うために特殊なフレームを使う必要があり、想定していた予算よりも高くついてしまうこともあるのです。
特にリノベーションで作る場合は、耐震補強費用に加えて、部屋の解体費用、敷地処理費用が別途かかりますので、注意しましょう。
ビルトインガレージにするなら、備えたい設備
ビルトインガレージを心地よく便利なスペースにするため、ぜひ備えておきたい設備をご紹介します。
換気扇
ビルトインガレージへの換気扇の設置はマストと考えましょう。
なぜなら、ビルトインガレージは密閉性が高く、排気ガスがガレージに充満すると二酸化炭素中毒を引き起こし、危険な状況になり得るからです。
また、排気ガスだけではなくオイルやガソリンの匂い対策にも効果的。
換気扇があれば、冬場の暖機運転や、車のメンテナンスをガレージ内で長時間行うときにも安心ですね。
照明
ビルトインガレージ内は壁に囲まれ暗いので、照明の設置が必要です。
車の乗り降りをするときなど短時間ガレージを利用する場合には、人に感知して自動で点灯するオートライトが便利。
車のメンテナンスでガレージに長時間滞在する場合には、部品が見えやすいよう明るめの照明を使うなど、用途に合わせて設置するとよいでしょう。
コンセント
ビルトインガレージ内にコンセントがあると便利です。
車のメンテナンス作業に使う電動工具、電動バイクや電動自転車のバッテリーの充電に使えます。
現在はガソリン車が優勢ですが、将来的に電気自動車のシェアが増えることを見据えて、EVコンセントの設置を検討する人も多いようです。
収納スペース
スペースに余裕があれば、壁際に棚を作るとビルトインガレージの用途の幅が広がります。
愛車いじりに使う道具、スペアのタイヤ、子どもの外遊び用の道具、アウトドア用品などを収納するスペースがあれば、ガレージ内の見栄えや使い勝手がよくなりますね。
水道とシンク
車いじりをして手が汚れた際などに、手がさっと洗えるシンクがあると便利です。
洗車をしたり、アウトドア用品を洗ったり、ガレージ内の掃除にと、何かと活用の機会は多いので備えておきたいですね。
空調設備
コンクリートで密閉されているビルトインガレージ、夏は暑く、冬は底冷えします。
エアコンを設置すると作業や趣味に長時間没頭しても快適に過ごすことができ、ガレージがくつろげるスペースになりますね。
また、空気の循環がしづらいビルトインガレージは湿度が高くなりがちに。
湿度が高いと、ガレージ内の鉄骨や車内の部品に錆びやカビが生じやすくなるので、除湿器の設置が対策として有効です。
法規制があることをお忘れなく
屋根がある駐車場を建てる際には、自治体への建築確認申請が必要です。
建築確認申請を通すためには、地域ごとに建築基準法で定められた「建ぺい率」と「容積率」を満たさなくてはいけません。
ビルトインガレージも屋根がある駐車場と見なされるため例外ではなく、住宅の面積とのバランスを見て大きさが制限される場合があります。
気になる「建ぺい率」「容積率」について、さっそく詳しく見ていきましょう。
「建ぺい率」とは?
建ぺい率とは、「敷地にどのぐらいの面積の建物が建てられるか」を割合で示したものです。
通常の建物は1階が広く、2階は1階よりも小さい面積なので、1階部分の床面積が「建物面積」として見られます。
建ぺい率の計算式は「建ぺい率(%)=建物面積/土地の敷地面積×100」。
例えば、敷地面積が100㎡、建ぺい率が70%だと、建物面積70㎡までの建物の建築が認められます。
「敷地面積ぎりぎりまで建物を建てたい」と思うのが当然ですが、非常時の避難経路や防火のことを考えて「建ぺい率」が地域により定められているというわけです。
「容積率」とは?
容積率とは「敷地面積と建物の延べ床面積の割合」を算出したもので、敷地に何階まで建ててよいかの目安となるものです。
容積率は自治体で決められており、建ぺい率を満たすからといって、好きな高さの建物を建てていいわけではありません。
容積率の計算式は「容積率(%)=延べ床面積/敷地面積×100」。
例えば、1階の床面積が80㎡、2階の床面積が40㎡、敷地面積が200㎡、だとすれば、容積率は「(80㎡+40㎡)/200㎡×100=60%」と算出されるのです。
容積率が定められている理由は、「住民数」と、「水道・ガスなどのインフラや学校などの公共施設」とのバランスを図るため。
急にタワーマンションなどの大型マンションが建つとなると住民数がどっと増えてしまい、事前に準備をしなければインフラがキャパオーバーしますよね。
そんな事態を避けるため容積率を定め、住民数を計画的にコントロールしているのです。
ただし、ビルトインガレージは緩和措置あり!
ビルトインガレージは容積率の緩和措置が受けられる場合があります。
ビルトインガレージの面積が延べ床面積の1/5以内であれば、床面積に含まなくてよいのです。
また、地下にビルトインガレージを作れば、建ぺい率の影響も受けません。
延べ床面積の1/3であれば、地下部分は延べ床面積から外すことができ、容積率も緩和されます。
ビルトインガレージの構造、地域などによって解釈が変わってきますので、経験豊富で様々な情報に精通している業者に相談してみるとよいでしょう。
ビルトインガレージにするなら。注意したいポイント
ビルトインガレージを建ててしまってから後悔しないために、注意したいポイントを知っておきましょう。
固定資産税が減額できる広さにする
広々としたビルトインガレージを作り、趣味を楽しみたいと思う方もいるでしょう。
しかしながら、ビルトインガレージの面積が広くなるほど、固定資産税は高額になります。
ただし例外があり、ビルトインガレージの面積が延べ床面積の1/5以内であれば、床面積に含まなくてよく、固定資産税も減額されます。
こだわりがない場合は延べ床面積の1/5以内で建築したほうが、節税できますね。
生活動線を考えておく
ビルトインガレージも住宅の居室を同じように、使いやすい動線を考えておきましょう。
スーパーで買ったものを運び込めるようにキッチンへ直接続く扉を設ける、靴を履いてすぐ出発できるように玄関の近くにガレージを設置する、など日頃の生活スタイルを想像すると機能的に設計できます。
騒音に配慮した設計にする
車やバイクのエンジン音、シャッターの開け閉めの音など、ビルトインガレージ内の音は周りに意外と響くもの。
寝室はなるべくビルトインガレージの近くに配置しない、静かな電動式のシャッターを使うなど、周囲に配慮した対策を行いましょう。
少しゆとりのあるサイズにしておく
今はお使いの車がぎりぎり入るスペースがあればよいとしても、将来大型車へ買い替えたり、車の数を増やしたりするなど何があるかわかりません。
想定外のことを見込んで、ゆとりをもったサイズにするとよいでしょう。
上記の固定資産税が減額されるサイズとの兼ね合いもありますが、将来のことを考えて少し広めにしておくと、もしものときも安心です。
実際にどんなビルトインガレージがあるの?実例紹介
ビルトインガレージの実例をご紹介します。
どのビルトインガレージも個性豊かで、楽しい暮らしが目に浮かぶようです。
愛車を魅せるインナーガレージ
【メーカー】トヨタホーム
【製品名】シンセ・スマートステージ
【間取り】敷地面積:241.22㎡ 72.96坪、延床面積:151.47㎡、1階床面積:98.70㎡、2階床面積:52.77㎡
【仕様】6m×6m、室内への出入り口2箇所
【特徴・こだわりポイント】壁の一部がガラス張りで、リビングからいつでも愛車が見られる。
<参考:住まいの実例 トヨタホームのオーナー様の「住まい方」2階建て:シンセ・スマートステージ >
スクエアの窓と門扉が彩る「洗練のガレージハウス」
【メーカー】愛三建設
【間取り】延床面積:130.45㎡(39.4坪)、敷地面積96.64㎡(29.2坪)
【仕様】小型車2台収納可能
【特徴・こだわりポイント】アルミパネルを天井に沿って収納する「オーバースライダー」のガレージ扉
<参考:スクエアの窓と門扉が彩る「洗練のガレージハウス」。強い構造で、1階の半分を占めるガレージを叶えた!>
愛車を眺められるビルトインガレージハウス
【メーカー】アーバンプランニング
【間取り】延床面積:136.49㎡の3階建て
【仕様】大型車2台収納可能
【特徴・こだわりポイント】リビングとガレージがガラス板で仕切られ、リビングから愛車を眺めることができる。
<参考:「愛車」を眺めて、自分時間を満喫できる家。 室内は50年代のアメリカンヴィンテージの照明や家具が似合う造りになっています。>
ますます実現したくなる!ビルトインガレージ
ここまでビルトインガレージについて、ご紹介してきました。
ビルトインガレージとの生活がイメージできて、ますます欲しくなってきたのではないでしょうか。
自分がビルトインガレージでどんなことを叶えたいか書き出して、そのうえでどんな設備が必要かチェックすれば、快適な空間になりますね。
また、法規制を把握しないと「こんなはずでは……」ということになりかねませんので、しっかり理解しておきましょう。
経験豊富なメーカーや業者と話し合って、夢のビルトインガレージを実現させてください!