コンテナってどう活用できる? 規格・サイズ・相場・メリデメを徹底紹介

東京、横浜、名古屋など大きな港のある街を車で走っていると、大型トレーラーが海上コンテナを運んでいるのをよく見かけます。交差点などで遭遇すると、ちゃんと曲がることができるのか見ているこちらがハラハラしてしまいますが、そこはさすがのプロ。卓越した運転技術で、いとも簡単に交差点を通り抜けていくわけです。

ちなみに、世の中には海上コンテナを運ぶ大型トレーラーの熱烈なファンがいて、YouTubeにはコンテナを積んだトレーラーが目の前を通過するだけの様子を撮影したマニアックな動画もたくさんあるんですよ。軽い気持ちで見始めてその圧巻の迫力にどっぷりハマり、ついつい関連動画をあれこれ見てしまったのは、何を隠そうこの私です。

…と、余談はここまで。

今回こちらの記事で取り上げるのは、トレーラーではなくコンテナについて。

実は、ひと口に「コンテナ」と言ってもサイズやタイプはさまざまで、近ごろでは事務所や店舗として活用するケースも増えています。コンテナのシンプルな形状と大きさを最大限に活かして、個性的でインパクトのある建物に仕上げることができるんですよ。

ただし、実際に事務所や店舗などの建物に使われているコンテナというのは、海洋輸送用のコンテナではなく、建築用のコンテナが使われています。

というわけで今回は、事務所や店舗にコンテナを利用したいと考えている方のために、海洋輸送用コンテナと建築用コンテナの違いや価格、規格からサイズ、メリット・デメリットまで、丸ごと詳しく解説していきたいと思います!

大きな大きな鉄の箱「コンテナ」

コンテナ輸送船

大型のトレーラーに運ばれる様子が迫力満点のコンテナですが、すごいのはそれだけではありません。実は、この大きな鉄の箱は、世界の物流に非常に強いインパクトを与えた革新的な発明品なのです。

コンテナを使用した物流の始まりはおよそ半世紀前の1956年。コンテナというサイズの決められた箱を導入したことによって、これまでサイズも企画も異なる貨物の輸送にかかっていた人件費などのコストを大幅に削減し、より効率的に、より安全に貨物を運ぶことができるようになったのです。

この20世紀最大のイノベーションと称されるコンテナは、現在では貨物の輸送だけでなく幅広い用途で活用されています。なかでも特に人気なのが、コンテナを事務所や店舗などに利用するケースです。無骨でインダストリアルな雰囲気は残しつつ、個性的でスタイリッシュに進化したコンテナが街のランドマークになっているものもあります。

ただし、ひとまとめにコンテナと言ってもその種類はさまざまで、海洋輸送用コンテナと建物に使われる建築用コンテナとは似て非なるものです。コンテナを使ったお洒落な建物は輸送用コンテナをリメイクしたものだと思われがちですが、実際は輸送用コンテナを建物として利用することは建築基準法によって認められていません。

では、なぜ輸送用コンテナを建物として利用することができないのでしょうか。その理由は、輸送用コンテナと建築用コンテナの違いにあるようです。

輸送用コンテナと建築用コンテナの違い

輸送用コンテナと建築用コンテナの違いは、主に「サイズ」、「素材」、「構造」の3つです。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。

①サイズ

海洋輸送用コンテナは国際的な標準規格(ISO規格)によってサイズが決まっています。ISOコンテナ規格にはさまざまな種類がありますが、最も流通しているのが主に20フィート(長さ6058㎜)と40フィート(長さ12192㎜)のタイプです。いずれもサイズも幅は2,438mmと共通していて、高さについては2591mmの通常タイプと2896mmのハイキューブタイプがあります。

建築用コンテナでも主に流通しているのは20フィートと40フィートの2種類になっていて、幅と長さについてもISOコンテナ規格と同じで、高さについてはハイキューブタイプの高さ2896mmを採用するのが一般的です。

②素材

海洋輸送用コンテナの素材はアルミ、スチール、FRPの三種類が一般的ですが、建築用コンテナでは建築基準法によってJISに規格されたJIS鋼材で作ることが義務付けられています。しかも、ただJIS鋼材を使っていれば良いというわけではなく、鋼材を作る工場や溶接を行う工場もJIS認証を受けていなければなりません。

③構造

海洋輸送用コンテナと建築用コンテナとでは、構造面でも大きな違いがあります。海洋輸送用コンテナは一般的にパネル構造が採用されていて、輸送用のコンテナとしては十分な強度を保つことができますが、扉やドアなどの開口部を設けると強度が一気に下がってしまいます。

一方、建築用コンテナの構造は、柱や針などの枠で支える鉄骨ラーメン構造が採用されていて、開口部を設けても強度が変わることはありません。窓や扉などを設置できるだけでなく、ライフラインを引くことも可能です。

コンテナの規格・相場

海上輸送用コンテナと建築用コンテナにはさまざまな規格があります。ここでは、それぞれの特徴と費用の相場について詳しく見ていきましょう。

海上輸送用コンテナ

海上輸送用コンテナは主に「ドライスチール」、「フルサイドオープン」、「冷凍冷蔵」、「断熱」、「フラットラック」に分けられます。

ドライスチール

海上輸送用コンテナのうち最も一般的なのが「ドライスチール」です。常温保管の一般貨物を輸送するために使われるもので、素材はスチール製となっています。主なサイズは20フィート型と40フィート型、40フィート型背高タイプの3種類。価格は中古か新造かによっても異なりますが、おおよその目安としては以下のようになります。
・20フィート型/530,000円〜650,000円(新造)、200,000円〜400,000円(中古)
・40フィート型/820,000円〜1,100,000円(新造)、280,000円〜620,000円(中古)
・40フィート型(背高)/1,000,000〜1,350,000円(新造)、500,000円〜850,000円(中古)

フルサイドオープン

その名の通り、側面が開くコンテナのことで、長尺物を入れることができます。また、一度に複数台のフォークリフトで荷物の積み込みができるため、作業時間を短縮することが可能です。フルサイドオープンのコンテナは20フィートのものが一般的で、金額は新造で700,000円〜1,000,000円、中古で300,000円〜600,000円がおおよその目安となります。

冷凍冷蔵(リーファーコンテナ)

生鮮食品や冷凍食品、乳製品、薬品など温度管理が必要な貨物を輸送する際に使われるコンテナです。断熱性が高く、冷却ファンが取り付けられていてマイナス29度〜60度ぐらいまでの範囲で温度調節をしながら輸送ができます。
・20フィート型/1,500,000円〜2,000,000円(新造)、950,000〜1,100,000円(中古)
・40フィート型/2,000,000円〜2,500,000円(新造)、1,000,000円〜1,800,000円(中古)

断熱(サーマルコンテナ)

リーファーコンテナのように機械によって温度調節を行うのではなく、断熱材を用いて外気温の影響を受けにくくするタイプです。あらかじめ温めたものや冷却されたものを、その温度を保ちながら運ぶためのコンテナになります。

フラットラック

ドライコンテナから天井部分と側面を取り除いたタイプのコンテナです。木材やパイプなどの長尺物や重機などの輸送に使われます。

建築用コンテナ

建築用コンテナはメーカーによってもタイプやデザインが異なりますが、サイズは主に20フィートと40フィートの背高タイプが使われるのが一般的です。価格は20フィートで400,000円〜800,000円、40フィートで700,000円〜1,400,000円というのがひとつの目安になるでしょう。

建築用コンテナの利用方法

強度や安全性を確保するため、厳しい基準が定められている建築用コンテナ。窓や扉などの開口部を設けることができるため、「コンテナハウス」として住居や店舗、事務所として利用する方法も人気です。

というわけで、ここからはコンテナハウスの素敵な事例をいくつかご紹介していきます。

コンテナを使った店舗の事例

カフェ事例

<参考:コンテナハウス2040東北.jp

最初にご紹介するのは、東北を拠点に安全性の高いコンテナハウスを提供している「コンテナハウス2040東北.jp」が手掛けた20フィートコンテナ1台を使ったお洒落な店舗。

黒に塗装された外壁に白い文字が映えていて、シンプルながらも存在感のある外観が印象的です。内装には自然素材を取り入れ大きな開口部を設けたことで、約4.4坪というコンパクトなサイズでも狭さを感じさせない仕上がりとなっています。このサイズ感であれば、自宅敷地の空きスペースを活用してミニショップを開くこともできそうですよね。

コンテナを使ったオフィスの事例

次にご紹介するのは、国産コンテナを使ったスタイリッシュなコンテナハウスを多数手がける「株式会社TSUTSUMI」のコンテナ事業部「BOX OF IRON HOUSE」から、20フィートコンテナを使ったミーティングルームの実例です。

コンテナ事例

<参考:BOX OF IRON HOUSE

この広さであれば、レイアウトを工夫すれば、8人ほどが座れるミーティングルームとしても活用できそうです。なによりも、オフィスとフロアを分けることで、静かで落ち着いた環境が維持できるだけでなく、セキュリティ面でのメリットが大きいのもポイントだと思います。

コンテナを使った倉庫の事例

コンテナの事例

<参考:ATS, Japan合同会社

ビビッドピンクの外観が印象的なこちらの倉庫は、名古屋市に本社を構える「ATS, Japan合同会社」の施工事例。40フィートのコンテナなら、大容量の収納力を備えた倉庫として利用するのにもぴったりです。これだけの広さがあれば、自動車やオートバイなどのガレージにもぴったりですよね。

コンテナ利用のメリット・デメリットについて

お洒落で個性的な事務所や店舗をつくりたい方におすすめの建築用コンテナ。実際に導入する際には、長所と短所の両方をしっかりと理解した上で、目的に合った使い方ができそうかを判断することが大切です。

というわけで、ここからはコンテナを利用するメリットとデメリットについて詳しく見ていきましょう。

コンテナ利用のメリット

工期が短い

建築用コンテナは基本的に工場でつくられたものを設置場所に運ぶため、一般住宅のように現地で一から建てるよりも短い工期で完成させることができます。

運びやすい

建築用コンテナは輸送用コンテナの規格を採用しているため、運搬しやすいのも特徴のひとつです。また、「簡単に」というわけではありませんが、必要な場合には移設ができるというのも大きなポイントでしょう。

設計の自由度が高い

建築用コンテナのサイズは20フィートと40フィートが一般的ですが、最近では一からオーダーメイドできるものや、豊富なサイズを揃えているところも多く、窓や扉のサイズ・位置などの自由度も広がっていますし、コンテナを重ねて2階建にすることもできるなど、多彩な間取りを可能にしています。

個性的で目を引くデザインが叶う

建築用コンテナを使って事務所や店舗を建てる最大のメリットは目を引くおしゃれなデザインの建物に仕上げられるという点でしょう。インパクトのある建物は、それだけで大きな話題となるはずです。

狭小地でも設置ができる

コンテナの20フィートは約4坪(約8畳)、40フィートは約8坪(約16畳)とコンパクトなため、狭い土地でも設置することができます。

コンテナ利用のデメリット

設置場所を選ぶ

コンテナは狭い土地にも設置することができますが、周辺の道路はコンテナを運ぶための大型トラックが通れる広さが必要です。また、傾斜地には設置ができないなど、土地の条件によっては設置に向かない場合もあります。

建物の形は四角が基本

コンテナを事務所や店舗に活用する場合、複数のコンテナを組み合わせて広さを出すことはできますが、基本的には長方形の組み合わせになってきます。そのため、当然ですが円形などカーブを出す設計などはできません。

コンテナの質が快適性を大きく左右する

建築用コンテナにはさまざまな種類がありますが、断熱工事や防音加工の有無、耐用年数などによって、室内の快適性に大きな差が出てきます。特に中古で購入する場合には、その後のメンテナンスに費用がかかってしまうこともあるため注意が必要です。

費用はそれほど安くない

コンテナを建物に利用するとリーズナブルだという印象がありますが、これは以前までは輸送用コンテナを再利用することができていたのが理由です。現在は、原則として輸送用コンテナでは建築許可が下りないため、建築基準法を満たす建築用コンテナを使う必要があります。建物の広さによっても異なりますが、建築用コンテナは木造住宅と比べても決して大きくコストダウンできるというわけではありません。

コンテナハウスをお考えなら、スマモという選択肢もあり

スマートモデューロ

ここまで、コンテナの種類や特徴、メリット・デメリットについて詳しくご説明してきましたが、建築用コンテナを使ったコンテナハウスを検討している方には、もうひとつの選択肢として「スマートモデューロ(以下、スマモ)」もおすすめです。

「モデューロ」と、「スマートモデューロ」の2つのタイプを展開するスマモですが、その最大の特徴は、コンテナと同じ形をしていながら「木造」だということ。フレームはもちろん柱にも壁にも、そして床にも高級木材を使用して作られているのです。

サイズはモデューロが3m、スマートモデューロは6mと12mの2種類があり、用途に応じて多彩に組合せることができます。

このスマモを製造から販売まで一貫して行っているのは、奈良県吉野郡に本社を構える創業から70年の歴史を誇る老舗の建築資材サプライヤー「株式会社 吉銘」。小さく切り分け乾燥させた良質な木材を接着して作る「集成材」のパイオニアとして業界をリードする木のエキスパート集団として、こだわりのある製品づくりが高く評価されています。

木造住宅とコンテナハウスの良いところをギュッと凝縮したスマモ。その魅力はなんと言っても快適性をとことん追求するために細部にまでこだわっているということ。

例えば、室内の快適性を大きく左右する断熱性については、床と壁に分厚い断熱材を使用することで木造住宅以上の性能を実現。特に床については、傷や凹みに強い2種類の木材と機密性の高いポリフィルム、そして厚みが90mmにも及ぶ断熱材の3層構造になっているため、真冬であっても底冷えをすることなく快適に過ごすことが可能です。

明るく開放感のある室内に欠かせない窓には、国内最高レベルの断熱性を誇る最先端の3 層ガラスサッシ「トリプルスマージュ」を使用。これによって断熱性はもちろん機密性、水密性、耐風圧性・遮音性の5大性能をカバーしています。さらに、新鮮な空気を取り入れるために24時間換気システムも完備。室内の空気を常に入れ替えることで健康への配慮も万全です。

また、屋根部分には通気性が良く、雨水を流しやすい構造が特徴の「折板屋根」を導入。一般的な住宅の2倍以上の厚みを確保することで高い耐久性を維持し、大型の台風や豪雨などにも備えることができます。

そして、嬉しいのがスマモは購入だけでなくレンタルもできるということ。これなら実際に購入する前にお試しで住んで見ることもできて、利用のハードルがグッと低くなりますよね。

レンタルは36ヶ月以上と最低契約期間が決められていますが、1ヶ月あたりのレンタル料は3mタイプで2万2,000円~、6mタイプは3万9,600円~、12mタイプで6万6,000円~と、賃貸と同等の金額で利用することができます。しかも、レンタル利用でも内装を自分好みにカスタマイズすることができ、スマモライフを思いっきり楽しむことができるのです。

住居としてはもちろん、店舗や事務所などさまざまな用途で利用ができるスマモ。コンテナハウスに興味のある方は、まずはレンタルでその快適性とお洒落な空間を体感してみてはいかがでしょうか? 事務所の設置を検討している方は、実際にスマモを事務所として活用している方のインタビュー記事「夏も冬も快適に。スマートモデューロのオフィス利用者に本音インタビュー」も参考にしてみてくださいね。

コンテナを活用するのもいいかもしれない

いかがでしたか? 今回はコンテナの特徴や魅力、活用事例などについてたっぷりとご紹介しました。

コンテナには海上輸送用と建築用の2種類があり、日本で店舗や事務所としてコンテナを利用する場合には、建築用コンテナを選ぶことが最も大切なポイントです。

建築用コンテナは丈夫さや安全性はもちろん、居住性も高くデザインも豊富ですので、お洒落で存在感のある事務所や店舗をお探しの方にもおすすめです。

建築用コンテナを扱っている企業は全国にたくさんありますので、施工事例などを参考にしながら理想にぴったりのものを探してみてくださいね。