【保存版】コンテナハウスにかかる固定資産税について詳しく解説!
コンパクトなサイズで、住居や自宅の離れ、店舗、事務所など、組み合わせ次第で適した用途に姿を変えるコンテナハウス。
コンテナを使って、自由な発想で住宅や店舗を構える方が増えています。
見た目も特徴的で使い勝手のよいコンテナですが、コンテナを住宅として使う場合(コンテナハウス)にも固定資産税がかかることを知っていますか。
なぜかかるのか?
いくらかかるのか?
税金を安くする方法はあるの?
など、この記事ではコンテナハウスを買うなら必見の固定資産税について詳しく紹介します。
そもそもコンテナハウスとは?
コンテナハウスとは、海上輸送コンテナと同じ規格のサイズで作られている居住用のコンテナを利用して建てた住まいや店舗などのことです。
サイズは20フィート、40フィートというサイズが多く、完成品を必要な場所までシャーシという台に載せて運ぶことができます。
コンテナ同士を組み合わせて大きさを変えたり、2階建てにしたりと、自由に組み合わせられるのが魅力です。
近年ではデザインも豊富になり、コンテナのメタル感と木材を組み合わせた従来にはなかったようなデザインのコンテナハウスなども出てきています。
一般の住宅と同じようにライフラインも引けるので、コンテナハウスを住宅や事務所、店舗など様々な用途に利用する例が増えてきています。
コンテナハウスにも固定資産税がかかる
もともとは物を運ぶために作られたコンテナは、運びやすさを重視して設計されています。
土地に設置して使用するイメージが持ちにくいかもしれませんが、コンテナの持つデザイン性や機能性などから、建築物としても利用される例が増えているのですす。
輸送用のコンテナとして十分な耐久性などを持っていたとしても、土地に定着して建築物として利用するには、建築基準法に適合する必要があります。
国土交通省の通達でも、コンテナを住居や店舗として利用した場合、簡単に移動できない形態や使用実態から、建築基準法上の建築物に該当するとされています。
建築基準法上の建築物とは、「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの」とされています。(建築基準法第2条第1号)
土地に定着する建築物であれば、固定資産になり固定資産税の対象となります。
固定資産税というのは、固定資産である土地や建築物などにかかる税金で、その固定資産の所在する市区町村に納める地方税です。
トレーラーハウスには固定資産税はかからない?
コンテナハウスと似たものとして「トレーラーハウス」がありますが、トレーラーハウスのように車輪が付いて動かせる状態であれば、固定資産税は必ずしもかかりません。
しかし、トレーラーハウスであっても土地に設置して建物として利用する場合には、固定資産税の対象になることに注意が必要です。
また、一定の条件を満たし、車両として認められたトレーラーハウスには、車両税がかかることがあります。
トレーラーハウスは、大きさによって、車検証を交付されて公道を走行できるサイズのものと、基準緩和の認定を受け特殊車両通行許可を取得しなければ公道を走行できないものに分かれます。
車検証を交付されるトレーラーハウスは、車両として車両税がかかります。
公道を走るために基準緩和の認定を受ける必要のあるトレーラーハウスは、基準緩和の認定を受けることで車両と認められ、償却資産税の対象となります。
もし、基準緩和の認定を受けないのであれば、車両として認められず建築基準法上の建物となり、固定資産税の対象となります。
トレーラーハウスにも固定資産税がかかるケースもある
トレーラーハウスは固定資産税も車両税もかからない、という記載も時折目にします。
いつでも動かせる状態にしてあれば建物とは認められず固定資産税はかからない、車両として車検を受けなければ車両と認められないから車両税もかからない、ということです。
しかし、公道を走行できないトレーラーハウスは車両ではなく建物として扱われるので、車検証を取得していないトレーラーハウスは、厳密には固定資産税の対象となります。
税金を納めていないケースがあるということと、本来納める義務がないということは違います。
将来的に法律が整備され、厳しく徴収されるようにならないとも限りませんので、正しい知識を持つことが大切です。
都市計画税もかかる?
市街化区域に土地や建物を所有している人には、都市計画税も課税されます。
都市計画税とは、市街地を都市計画事業や土地区画整理事業に基づき、秩序をもって開発していくための税金で、固定資産の課税標準額に0.3%をかけて計算します。
固定資産税の対象となる場合には、都市計画税の対象にもなります。
市街化区域にコンテナハウスを建てる場合には、固定資産税とあわせて都市計画税もかかることを覚えておきましょう。
中古の輸送コンテナを使って建築するのは難しい?
「中古の輸送コンテナを使えば、コンテナハウスを安く建築できる」と考えている人は多いのではないかと思います。
ですが、建築基準法第37条「建築材料の品質」の規定では、日本工業規格(JIS)ないし日本農林規格(JAS)に該当する材料の使用を義務付けています。
しかし、輸送コンテナはもともと人の居住を前提に作られたものではないため、国際的な標準規格ISOに基づいて作られている輸送コンテナであっても JIS鋼材は使われていません。
そのため、JIS鋼材を使っていない輸送用の中古コンテナを利用したコンテナハウスは建築基準法違反となってしまいます。
さらに、輸送コンテナの多くは、壁全体で建物の重さを支える壁構造になっており、窓やドアを付けることを想定した設計とはなっていないため、窓やドアを付けると強度が弱くなるという欠点があります。
このため、輸送コンテナを利用して安価にコンテナハウスを建築するというのは難しく、建築基準法に適合するコンテナハウスを作るには、それなりの費用が必要になることを覚えておきましょう。
建築基準法は、建物の安全性を確保するために定められている法律です。
安全性の基準を満たした材料を使い、安全性の基準を満たした設計で、様々な基準をクリアしなければならないため、基準以下で建てられた場合と比べて費用も高額にはなります。
もともとの素材が輸送コンテナかどうかに関わらず、建物として使用する上での安全性を考えると建築基準法に準拠して建てることの大切さが分かりますね。
押さえておきたい固定資産税の計算方法
コンテナハウスを建てるには固定資産税がかかるのであれば、具体的に固定資産税がどの程度かかるのかを知っておく必要があります。
固定資産税の額は、原則として「課税標準額×1.4%」と計算されます。
課税標準とは?
課税標準とは、固定資産算定の基となる金額です。
課税標準額は、土地と建物に分けて計算され、固定資産税評価額に軽減措置を考慮して算定されます。
土地の固定資産税評価額は、各自治体が公示価格の7割ほどを目安にして決定します。
建物の固定資産税評価額は、同程度の建物を新築した場合にかかる費用を想定して、自治体の職員が家屋調査を基に決定します。
課税標準額と固定資産評価額は一致するのが原則ですが、固定資産税の軽減の特例措置が適用される場合などがあり、課税標準額が固定資産評価額より低くなるケースもあります。
新築住宅の特例措置
新築住宅の場合には、一定の条件のもとに固定資産税が減額される特例があります。
・居住部分の床面積が50~280m²の建物であること
・2022年3月31日までに住宅を新築すること
という条件を満たした場合の固定資産税は、3年間限定で2分の1に減額されます。
マンションなどの建築物の場合は、減額される期間が5年間となります。
ですから、50m²以上の広さのコンテナハウスを建てれば、3年間は固定資産税が2分の1となる可能性があります。
また、固定資産税は毎年1月1日時点の所有者にかかる税金です。そのため、1月2日以降に固定資産を取得した場合には、その年の固定資産税はかかりません。
駐車場にコンテナハウスを建てると税金が安くなる?
駐車場にコンテナハウスを建てると、土地にかかっていた固定資産税が安くなるケースがあります。
居住用の建物が建っている土地の固定資産税は、政策的に軽減されているからです。
駐車場として使用していた場合には、更地として計算されるので固定資産税は減額されません。
しかし、駐車場に新たに居住用の建物としてコンテナハウスを建てれば、居住用の建物の敷地として固定資産税が減額され、結果として税金が安くなるというわけです。
固定資産が安くなるのは居住用の住宅を建てた場合だけ!
居住用住宅の敷地で200m²以下の部分を小規模住宅用地、200m²超の部分を一般住宅用地と言います。
駐車場に居住用のコンテナハウスを建てた場合、小規模住宅用地に該当する200m²以下の部分については、固定資産税の課税標準額が6分の1に軽減されます。
200m²超の一般住宅用地に該当する部分については、固定資産税の課税標準額は3分の1となります。
たとえば、300m²の土地の固定資産税は200m²分は6分の1、100m²分は3分の1で計算されることになります。
ただし、固定資産税が減額されるのは居住用の建物を建てた場合だけです。事務所や店舗、倉庫として利用するためにコンテナハウスを建てた場合には減額されません。
【都市計画税の軽減措置】
都市計画税は、課税標準が以下のように軽減されます。
小規模住宅用地は、課税標準価格が3分の1。
その他の住宅用地は、課税標準価格が3分の2。
居住用の建物であれば、賃貸目的でも対象!
コンテナハウスを建てた敷地の固定資産税が安くなるのは、住居としての使用目的の場合に限られますが、住居として使用するのであれば賃貸目的であっても問題はありません。
むしろ、賃貸住宅を建てた場合には、賃貸住宅の住戸数1戸につき200m²までの小規模住宅用地として認定されるので、「部屋数×200m²」までの固定資産税が6分の1として算定されることになり、よりメリットがあると言えます。
駐車場にコンテナハウスを建てると相続税が安くなることがある?
駐車場に建てたコンテナハウスを人に賃貸していると、コンテナハウスの相続税が安くなる場合があります。
人に賃貸している建物を相続すると、相続時の建物の評価額が30%低くなります。
これは、家を貸すことで自分はその家を利用できないため、借家権付の建物はその分資産価値が下がると考えられるからです。
相続税の評価額が低くなるので、相続税もその分安くなります。
ただし、建物に借家権が設定されているとして相続税を算定されるためには、相続発生時に現実に部屋を貸し出している必要があります。
賃貸用に建てた建物であっても、相続の時点で空室になっている場合には、借家権付の建物として相続税を算定することは出来ません。
コンテナハウスの「建築」には建築確認が必要なことを忘れずに!
建築基準法は、建物を建てる際の最低限必要な基準を定めた法律です。
安全性の基準を満たさない建築物の建築は、私たちの命にも関わることになり、建築基準法を遵守することはとても大切です。
この建築基準法に従って設計され建築されたかを確認するために、建築確認が必要となります。
建築確認の必要性
国土交通省の通達で、コンテナハウスも使用の実態から、建築基準法上の建築物に該当するとされています。
コンテナハウスを建物として使用する際には、建築基準法に基づいて建築する必要があり、適法な建築物として建築確認が必要になります。
自治体の建築主事または国土交通大臣が指定している指定確認検査機関による建築確認や完了検査を受け、確認済証や検査済証が交付されることで、建築基準法に基づいて建てられていることが証明されます。
建築基準法に適合しない場合は違反建築物となり、是正指導や是正命令の対象となってしまいます。
コンテナハウスを建物としての用途に使用する際には、建築基準法に従い、建築確認を忘れないようにしましょう。
構造上の安全性の基準を満たす必要がある
コンテナを利用して建築したコンテナハウスでも、建物としての用途で使用する以上、建築基準法上の安全性の基準を満たす必要があります。
土地に適切な基礎を設けてコンテナハウスとしっかり接合させ、構造上の安全性を満たさなければ建築基準法20条に反することになります。
建築確認を受け、検査に通るためには建築基準法の要件を満たした強度が必要になります。
コンテナハウスは用途地域の用途に反して建てられない!
コンテナハウスも建築基準法上の建物である以上、建築基準法に定められた用途地域の制限に従う必要があります。
用途地域の用途に反すると建築基準法48条違反となります。
用途地域とは、エリアごとに建てられる建物の種類や構造などを制限することでより良い住環境を維持し、商業や工業の発展を促進しようという意図で定められているものです。
大きくは住居系、商業系、工業系に分けられ、全部で13種類に分類されています。
たとえば、コンテナを貸倉庫として利用する目的で営業用の倉庫を建築するには、営業用の倉庫を建築できる用途地域を選ぶ必要があります。
反対に、住居用のコンテナハウスは工業専用地域には建てられません。
例外的に建築確認が不要のケース
例外的に建築確認が不要のケースとして、防火地域および準防火地域以外で、床面積が10m²以内の増築、改築、移転の場合がありますが、この場合であっても建築基準法は適用されます。
建築確認が不要であることは、建築確認の手続きが必要ないというメリットはありますが、建物として使用する以上は建築基準法に定める安全性の基準を満たす必要があることには変わりありません。
固定資産税をしっかり把握してからコンテナハウスを選ぼう!
コンテナハウスを選ぶ際には、製品ばかりに目が行きがちになってしまうものです。しかし、毎年かかる固定資産税をしっかり把握して、購入してからも不安がないようにすることも大事です。
コンテナハウスを居住用に使用するのか、店舗などとして使用するのかといった使用目的によっても土地にかかる固定資産税の額が変わってきたりもします。
固定資産税などの税金は、計算方法が複雑な上に、頻繁に税制改正が行われたり、優遇措置が設けられたりしますので、税金に関する知識のない人には分かりにくいことが多いでしょう。
固定資産税について詳しく知りたいのであれば、専門家に相談するのもひとつの手であることを頭において、安心してコンテナハウス選びをすることをおすすめします。
※記事執筆時点の情報です。税法は毎年のように更新されます。最新の情報はご自身でもご確認ください。