これで安心。プレハブで作るローコスト事務所の選び方。
コロナ禍になり、働き方も変化している昨今。事務所を移転したり、自宅でリモートワークが基本になったりと、新たに仕事場を探す人は少なくありません。
特に、事務所の場合は、テナントとして賃借するのが一般的ですが、ここで提案したいのが「プレハブ」を使った事務所です。
実は、プレハブは、建築コストを抑えることができ、短い工期で完成できる建築工法として、様々な用途や場所で活用されています。
「プレハブ」と聞くと、昔ながらの長方形の造形で簡素な作りをした、生活感の薄い仮設の住宅や事務所のイメージをお持ちの方をも多いかもしれません。
しかし技術の進化によって品質は大幅に向上し、今では、中長期的に使われるような建物(事務所、店舗、住宅、複合施設)にも活用されています。
プレハブのサイズは、物置ほどから、趣味の作業場程度、工事現場の仮設休憩所、事務所にできる広さまであり、用途によって求められるサイズはさまざまです。
事務所をプレハブで構えようと検討しているけれど、プレハブはあまりにも安くて心配……。
このように考えている皆さんのために、今回は、「プレハブ」を事務所として活用する事例と選び方をご紹介します。
予算内で、快適な「プレハブ事務所」を実現しましょう!
昔ながらの簡素な作りではない!現代の「プレハブ」とは?
「プレハブ」というと、工場現場の近くに置かれ、臨時の事務所として利用される大きな物置のような建造物や、災害現場に設置される仮設住宅をイメージする人も多いのではないでしょうか。
実は「プレハブ」は商品名ではなく、建築工法のことです。英語の「プレ・ファブリケーション(Pre-fabrication)」を略して、「プレハブ」と呼ばれています。
具体的には、柱や桁、梁などといった建造物を構成するパーツの大部分をあらかじめ、工場で制作し、それを設置現場で組み立てる建築工法です。
このプレハブ工法を採用して建築した建物のことも「プレハブ」と呼びます。そのため「プレハブ=商品名」と認識している人も少なくないでしょう。
大きく分けて3タイプで作られる「プレハブ」
プレハブ工法で建築される建物は、大きく以下の3つのタイプに分類されます。
・木質系プレハブ
・コンクリート系プレハブ
・鉄骨系プレハブ
日本でプレハブ建築が始まった経緯、そして、3つのタイプの特徴を見ていきましょう。
日本におけるプレハブ工法の歴史
日本でプレハブ建築が始まったのは昭和初期。ドイツの建築家、グロピウスが提案し、20世紀最初のプレハブ工法とも呼ばれる、乾式組立構造(トロッケン・モンタージュ・バウ)がルーツだと言われています。
乾式組立構造は、さまざまな日本の建築家によって研究され、形を変えながら普及していきました。
実際の住宅にこの乾式工法が採用されたのは昭和16(1941)年のことです。住宅営団(現在の住宅公団)が主導して開発、試作を行いました。この日本で最初のプレハブ工法住宅を「木製パネル式組立住宅」と呼びます。
木製パネル式組立住宅では、文字取り、工場であらかじめ製造した木製のパネルを組み立てて建築していきます。
およその手順は以下のようなイメージです。
1:基礎の上につなぎ材を置く
2:つなぎ材の上に床パネルを置く
3:外壁のパネルを建てる
4:屋根のパネルを取り付ける
木製パネル式組立住宅の建築手法は、効率的に住宅を建築できる手法として、日本におけるプレハブ工法の基礎として引き継がれています。
簡素でリーズナブル【木質系プレハブ】
「木質系プレハブ小屋」も木製パネル式組立住宅と同様に、木材を用いて建造されます。建物の主要構造部である壁、柱、床、梁、屋根などは木質系の材料で構成されるのが特徴です。木材で組んだ枠に断熱材を入れた後、合板で壁面を作ります。
構造はさまざまありますが、どの作り方においても、他の素材に比べて木材の温もりを感じられるのが、木質系の魅力ではないでしょうか。
耐久性に優れた【コンクリート系プレハブ】
木質系プレハブは主要構造部が全て木製なのに対して、コンクリート系は、その名の通り、主要部分がPC部材(工場生産コンクリート部材)で作られています。
コンクリートならではの、どっしりとした耐久性はもちろん、耐火性、耐震性に優れ、安心して居住できるというのがこの構造の特徴です。
強度が高い【鉄骨系プレハブ】
現代のプレハブ住宅で主流となっているのが、鉄骨系プレハブです。
建物の主要構造部である壁、柱、床、梁、屋根などには、工場生産した軽量鉄骨の骨組みを使用し、現場で組み立てて完成させます。断熱性、遮音性、耐震性に優れた構造です。
工期が早くすむのでローコスト!
プレハブ工法なら、基本は、すでに完成している部材を組み立てるだけで建築物が完成します。そのため工期が短く済み、その分コストを抑えることも可能です。
ただ、部材はライン製造されるため、一般的な建築物よりデザインの自由度が低いという傾向は否めません。それでも、今は各メーカーからさまざまなデザインの商品も出ているので、自分の好みのプレハブを見つけることも可能になっています。
それほど強度は求めず、比較的短い期間の使用の際には、ローコストで利用できるプレハブは便利です。
事務所用に使うなら、相場はどれくらい?
実際、事務所としてプレハブを導入する場合、どのくらいの費用を見込めば利用できるでしょうか。
まずは、事務所に適切な広さがどのくらいなのかを確認しておきましょう。
その後で、事務所として利用可能なプレハブを提供している代表的な4社の事例を参考に、プレハブの相場をみていきます。
一人当たりの適切な事務所の広さとは?
一般的な事務所としてデスクワークがメインの想定で使用する場合、一人当たりの坪面積は2.5〜4.5坪と言われています。
2.5坪の場合はかなりコンパクトな事務所です。着席した状態で業務にあたるのがメインとなり、荷物も少ないタイプの事務所に最適なサイズと言えます。
一般的に推奨されている事務所のサイズは、一人当たりの3坪、約10㎡のスペースがあることです。広すぎず狭すぎず、コミュニケーションの取りやすい距離を確保でき、動線もスムーズな空間がベストです。費用対効果が最も高く、作業効率も良いのが、この「一人当たり3坪」だと言えます。
例えば5人で使用する事務所なら、ワンフロアあたり15坪あれば、快適な事務所を構えることができるでしょう。
4.5坪あると少しゆとりが生まれ、打ち合わせや来客時のスペースを取ることもできます。
フロア数を増やせばプライベートも確保できる
プレハブを事務所利用する場合、用途に合わせてフロアの数を増やすことも可能です。
例えば来客が多い事務所や、打ち合わせは別室で行いたい場合もあるでしょう。こんな時はプレハブを2つ連結させれば、別室を持つこともできます。壁板のバリエーションも豊富ですから、用途に合わせて自社仕様の事務所を構えられるのもメリットです。
費用相場
事務所として利用可能なプレハブを提供している、代表的な4社をピックアップしました。一般的な事務所として使用する場合を想定して、プレハブを購入した場合の相場を見ていきます。
なお今回は、一人あたり2.5〜4.5坪程度の広さを確保することを目安にし、本体のみの価格で作成しています。
使用人数 | |||
メーカー名 | 5〜6人程度 | 10人程度 | 10人以上〜 |
三協フロンティア(MOBILESPACE) | 約230万円〜(本体のみ) | 約460万円〜 | 約460万円〜 |
環境生活 | 2〜3人程度の事務所用で約133万円程度〜(本体のみ) | ||
ナガワ | 約330万円〜(外装込) | 約660万円〜(外装込) | 約660万円〜(外装込) |
尾瀬ハウス | 200〜600万円程度(本体のみ) | 600万円程度〜 |
※いずれも詳細は現地調査の上算定するため、要問い合わせです。
※制作時の各社のHPの情報に基づいておりますが、詳細は各メーカーにご確認いただき、ご購入においては各自のご判断によってお願いいたします。
実際に事務所として活用されている事例をご紹介
プレハブを提供する代表的なメーカー、『三協フロンティア(MOBILESPACE)』の事例から、使いやすい事務所を構える方法のヒントを得ていきましょう。
プレハブを連結して平家建ての広々事務所に
プレハブには、横にのみ連結可能なものと、縦に積み上げて階層を作ることのできるプレハブもあります。敷地面積と理想のフロア面積に合わせて、臨機応変な対応ができるのは魅力です。
この事例では、コンパクトな2〜3人用のサイズのプレハブを5フロア連結し、平屋で26坪程度の広々した事務所を作成しています。
壁面に、比較的リーズナブルな価格帯ながら耐久性の高さが人気の波型のパネルを用いており、強度を高くしているのが特徴です。
<参考事例:施工事例 会社事務所(ID:SK1628)>
従業員がくつろぐための休憩室も併設した2階建て
プレハブを縦に重ねて、2階建てにした事例です。
2階に休憩室を作り、階段を建物の外側に設置しているので、ほかの人の集中を妨げる心配はありません。気兼ねなく休憩室に出入りできるのがポイントです。
また2階の休憩室スペースには、目隠し効果のあるルーバーパネルを設置。従業員のプライバシーを守りながら、ゆっくりくつろげる快適な休憩室を併設した事務所の事例です。
<参考事例:施工事例 会社事務所兼休憩所 >
事務所兼作業場所
4連棟と3連棟、そして、単体を広い敷地に配置した事例です。オフィススペースと作業場を分けることで、効率的な空間を作ることができています。
外観も内観も白を基調とした清潔感ある雰囲気で、仕事に集中できる環境。また、大きな窓があることで、圧迫感がなく開放的な空間が実現しています。のびのびと仕事ができるよう、いたるところに工夫が施された例ですね。
<参考事例:施工事例 事務所兼作業所(ID:SK1608)>
アレンジ力を発揮したおしゃれオフィス
プレハブを縦にも横にも連結させた、2階建のオフィスです。275.37㎡という広さがあり、組み合わせ方を工夫し、室内に階段を作ったり、2階にはサンルーフスペースも設けています。
また、外観全面はFIX窓を大胆に使うことで、室内はいつも明るく開放的な雰囲気に。
フレキシブルにデザインできるプレハブの特徴を生かした、「おしゃれ事務所」の事例として参考にしてみてください。
<参考URL:施工事例 会社事務所(ID:SK1603))
プレハブもいいけれど、事務所利用なら「スマートモデューロ」がおすすめ!
あらかじめ部材を用意し、現場で組み立てることで完成するプレハブ。素材も豊富にあり、利便性に優れいてるため、使い勝手は抜群です。ただ、「もう少しデザイン性を重視したい」「プレハブだとどうしても無機質なところが気になる……」という人も少なくないでしょう。
そこでおすすめしたいのが「スマートモデューロ」(スマモ)です。
スマートモデューロとは、“移動ができる家”として「ムービングハウス」と呼ばれている住まいのことです。プレハブと違い、こちらは完成品を運ぶだけなので、工期が圧倒的に短いのも特徴です。
高級木材を使用しているというのも魅力です。壁、床、天井など、上質な木材で汲み上げられ、木の優しい温もりに包まれながら、快適に過ごすことができます。夏は涼しく冬は暖かく、仕事環境としてはとても最適なのではないでしょうか。
さらに、「あらわし構造」を採用しているのも特徴。通常ならば柱と柱を仕上げ材などで隠してしまうところですが、この構造は柱を剥き出しにすることで、部屋をより広く確保できますし、柱に収納棚などを付けてアレンジすることも自由自在です。自分好みに内装を作れるというのも、ユーザーからの評価が高いポイントなのです。
また、3mサイズの「モデューロ」、6mサイズ、12mサイズの「スマートモデューロ」と3つのサイズがあり、それぞれ連結しながら、好きなレイアウトを作ることができます。敷地面積や従業員数に応じて、より快適なオフィス計画を立てられるのは、スマートモデューロならでは。
実際に『株式会社吉銘 福岡営業所』では、12mと6mのスマートモデューロを組み合わせた事務所を採用しています。木の温もりの中で業務にあたるのは、どんな気分なのでしょうか。インタビューしていますので、こちらの記事「夏も冬も快適に。スマートモデューロのオフィス利用者に本音インタビューオフィス」もぜひご覧ください。
気になる料金ですが、購入する場合、材質や外観のこだわりを無くせば、プレハブの方が安いケースが多いでしょう。
しかしスマートモデューロは、レンタルで利用することも可能です。レンタルすれば、高級住宅並のハイクオリティで快適な住まいを、月々22,000円〜で手に入れられますよ。
毎日利用する場所だから、快適で使いやすい空間にしよう
リーズナブルで手軽に導入できることから広く利用されるようになったプレハブ。バリエーションも豊富になり、事務所や休憩スペースに利用するケースも増えています。
ただプレハブは、構造や材質によっては、夏は蒸し暑く冬は極寒。夏は湿度が高く、冬は乾燥して寒いという、日本の気候には適さない一面もあるのが実情です。
事務所は1日の大半を過ごす場所だからこそ、快適な空間であって欲しいものです。
プレハブ、スマートモデューロ、それぞれの特徴を考慮して、あなただけの快適な事務所をみつけてください!