コンテナガレージのメリットとデメリットを整理【DIYで自分好みにアレンジもOK】

昨今、コンテナガレージを導入する人が増えているのはご存知ですか?動画サイトなどで、コンテナガレージづくりにチャレンジしている人もたくさんいて、その輪はどんどん広がっています。

コンテナガレージを自宅に導入するだけで、車やバイクを収納するガレージの役割を果たすのはもちろん、趣味の部屋を増設することも可能。DIY好きな人はコンテナを改装してより自分好みにもアレンジできるので、使い勝手は無限大なのです。

でも、「ガレージを増築したいけど、どのようにコンテナを使えばいいのかな?」と、これから導入を検討している人にとってはわからないことだらけです。そこでここでは、コンテナガレージのメリット、デメリット、費用、活用法などについて解説していきます。

コンテナガレージのメリット、デメリット

いわゆる貨物輸送用のコンテナを使って、倉庫や車庫、店舗などに活用するのが「コンテナガレージ」です。住宅の敷地内に設置して、車庫替わりに活用したり店舗を作ったりと、手軽に増設ができるのが大きな魅力です。では、実際にどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

コンテナガレージのメリット

  • 耐久性が高い
  • 価格がリーズナブル
  • 防犯性が高い
  • カスタマイズしやすい

貨物輸送用コンテナは、陸上・海上輸送など厳しい環境での使用を前提として、鋼鉄で作られており耐久性が高いことが特徴です。とはいえ、放っておくと自然に錆びが生じて劣化することから、定期的にメンテナンスを施す必要があります。

中古のコンテナは、20フィート(詳細な規格は後述)で20万円台からと比較的安価に入手することがきます。また同規模の鉄骨造の建物と比べても、リーズナブルに設置することができ、木造建築と比較しても耐用年数の長さからトータルで低コストが実現できます。

20フィートコンテナは自重が約2t、天井や壁は1.6mmから2mm程度の鋼板でできてりるため、盗難や破損の可能性は極めて低いでしょう。加えて、侵入路となる窓などを必要最小限に抑えることで、より防犯効果が高まります。

そして、扉や窓を設置する、あるいは防音工事を行うなど、使用目的に合わせて自由にカスタマイズできることが、コンテナガレージの何よりものメリットです。倉庫やガレージ、居間や子ども部屋、あるいはオフィスや店舗など、工夫次第で用途が無限に広がりますね。

コンテナガレージのデメリット

  • 場合により建築確認申請が必要
  • 輸送路の確保
  • 搬入スペースの確保

建築確認申請の要否は、コンテナガレージの面積、用途、設置場所により異なります。申請が必要な場合は、煩雑な手続きが発生するとともに、申請を通すために構造の変更や補強を行うなどのコストが発生する場合もあります。

あらかじめ建築確認申請の要否について、コンテナガレージを設置する前に自治体へ確認しましょう。

巨大なコンテナをトレーラーが運び込むため、トレーラーが通行できる道路の確保が必要です。特に電線などの障害物がある場合は要注意です。
また輸送費用は、コンテナの購入箇所から設置箇所までの距離に大きく依存します。安くコンテナを仕入れても、あまりにも遠い場所にある業者だと、かえって輸送費が高くなる場合もありますので、注意が必要です。

障害物を跨ぐための大きなクレーンの手配や、障害物の養生(保護)あるいは仮設物の設置が必要となり、設置費用が高くなることもあるので、この点も注意しましょう。

コンテナのサイズと価格帯

コンテナのサイズ

コンテナと一口に言っても、その規格により3つのタイプに分かれます。まず海外との貿易に用いる「海上コンテナ」(ISOコンテナ)、日本国内において鉄道貨物輸送などで使用されている「国内貨物コンテナ」(JISコンテナ)、そして日本の建築基準法に合わせて作られている「建築用コンテナ」で、こちらもJIS鋼材を使用したJISコンテナを使用しています。

また貨物コンテナには、幾つかの種類があります。最も一般的なコンテナが「ドライコンテナ」です。鋼板でできた箱に床材を張り付けているだけの単純なものです。このほか通風孔のついた「通風コンテナ」、冷凍・冷蔵などの機能が付いた「リーファーコンテナ」などがあります。

長さによる分類として、10フィートあるいは12フィートと小型のコンテナから、コンテナガレージとして十分な広さが得られる20フィート、ならびに40フィートコンテナがあります。ISO規格の20フィート、40フィートの諸元は以下のとおりです。

※ISO規格とは、国際標準化機構(International Organization for Standardization)によって制定されている国際規格のことです。

【20フィートコンテナ】

長さ:(外寸)6,058mm(内寸)5,867mm
幅:(外寸)2,438mm(内寸)2,352mm
高さ:(外寸)2,591mm(内寸)2,385mm
内容積:33.1m3
自重:2,200kg
積載重量:28,280kg
面積(内側):約13.8m2 (約8.5畳)

目安の価格:200,000円〜

 

【40フィートコンテナ】

長さ:(外寸)12,192mm(内寸)12,032mm
幅:(外寸)2,438mm(内寸)2,352mm
高さ:(外寸)2,591mm(内寸)2,385mm
内容積:67.5m3
自重:3,800kg
積載重量:26,680kg
面積(内側):28.3m2 (約17.4畳)

目安の価格:300,000円〜

20フィートおよび40フィートコンテナは、いずれも幅は2,438mm(外寸)と同一であり、長さが異なるだけです。
10フィート(長さ外寸2,991mm)あるいは12フィート(長さ外寸3,658mm)コンテナも、20フィートコンテナと幅は同じで、長さが短いだけの仕様となっています。

また、規格ならびに使用年数や劣化の程度などの諸条件により、さらに安く販売されているコンテナもありますよ。

コンテナを改装するのに必要な素材やオプション

コンテナガレージを作るといっても、どのような材料が必要なのか全く想像がつかない人も多いのではないでしょうか。
まず、自分が理想とするコンテナガレージに改装するためには、様々な材料を一から揃えていかなければなりません。コンテナの改装に必要な素材について、「建具」「内装」「外装」「その他」に分けられます。それぞれ、建物の部位に分けて詳しくみていきましょう。

建具

建具とは、入り口の扉や窓などのことを指します。まずは、開き戸、引き戸など出入り口の形状を考えるところから始めるとよいでしょう。出入り口と窓を兼ね備えた掃き出し窓ということも可能なので、使用目的や設置環境に合わせて検討してみてください。

このほか、必要であれば、腰窓、縦あるいは横滑り窓などの窓類、換気口、カーテン・カーテンレールなども設置することが可能です。いずれの材料もホームセンターやネット通販で購入でき、または、中古品を扱っているところもあります。いろんな店舗やサイトで比較しながら、コスパの良い建具を探すのも楽しみの一つですよ。

内装

コンテナ内部の壁、床、天井のことです。まず角材を組み合わせて、L字金具で固定し内部構造を作ります。この構造でサッシなどの建具を固定するとともに、構造用合板を取り付けて壁、床、天井にします。また内部構造に断熱材を敷き詰めることで、断熱性を高めることが可能です。

外装・外構

外装をアレンジする際にまず思い浮かぶのは塗装でしょう。ペンキなどの塗料やスプレーを購入して、オリジナルデザインの外観を作ることができます。逆に全く手を加えることなく、コンテナの素材や元のデザインをそのまま活かすことも一つの方法です。

このほか外装には、出入り口や窓の庇、雨樋などがあります。これらは、設置環境などにより必要に応じて取り付けるのがいいでしょう。

外構はコンテナ周りに設置する構造物のことです。出入り口の階段、ウッドデッキやテラスをはじめ、コンテナ周りの庭、門扉や柵・フェンスまで、幅広く含まれます。

その他

電気や水道、ガスなど、コンテナガレージの使用目的に合わせて、必要となるものを用意します。

多くのケースで必要になってくるのがガレージ内の照明でしょう。このほか換気扇やエアコンなどの電気器具を導入することもできますが、コンテナガレージの目的によって取捨選択していきましょう。照明器具だけであれば、電気工事を実施する必要はありません。小さな太陽光パネルを設置するだけで済む場合もあれば、電池や充電式の簡易的な照明で事足りることもあります。

水道やガスは、小さな台所が欲しい、あるいはシャワーを付けたいなど、住まいとしての機能を重視する場合に必要となってくるでしょう。

まとめ

建具と内装、および照明器具さえ整えれば、ひとまずコンテナガレージとして形が出来上がります。外装、外構、その他電気器具やライフラインは、用途や好みにより要不要を考えながら整えるとよいでしょう。

コンテナガレージの事例

それではコンテナガレージづくりをイメージし易いように、改装例を一つ紹介します。

【コンテナ本体改装】

建具、内装、外装(塗装)のみ施工を想定しています。なお、建築確認申請に向けた構造強化などは考慮していません。

  • コンテナ:20フィートコンテナ (200,000円)
  • 建具 開き戸、腰窓×1 換気口(110,000円)※新品
  • 内装 壁、床、天井に角材(40×30)を組み、構造用合板ならびに建具を固定。断熱材を内部に使用 (150,000円)
  • 外装 塗装(ブルー、ホワイト2色)※2層塗り、下地処理なし。(40,000円)
  • 概算費用(材料費):500,000円

コンテナ購入費用以外では、建具が大きなウエイトを占めています。中古品を手に入れることにより、大幅に値段を下げることができます。木材も全面張りではなく、天井はむき出しにする、あるいは元々床に敷いてあるパネルをそのまま採用するなどの工夫次第で削減可能です。また塗装を行わなければ塗料の材料費は不要になります。

併せてコンテナガレージの改装にあたり、工具もしっかり準備しましょう。金属ならびに木材の切断、ねじ止め作業が多いことから、ドリルドライバー、ディスクグラインダー、電動ノコギリなどの電動工具は必需品です。母屋が近くにあれば延長コードを用いて電源を確保しながら作業が可能です。近くに電源がなければ発電機を用意する、あるいは設置直後に電気工事を実施し、早めに電源を確保することが望ましいでしょう。また電動工具を揃える場合、それなりの費用が必要となることから、材料費に加えて使用する工具についても、予め予算に組み入れておくのもおすすめです。

【コンテナ本体改装以外の費用】

コンテナ本体の改装以外に、以下の費用が必要になります。

  • 運搬・設置費
  • 基礎工事費
  • 電気工事費、水道工事費
  • 外構の材料費

運搬費は、コンテナ購入先から設置箇所までの距離により変動します。また設置費用は、電線などの障害物の有無により、設置方法や使用するクレーンの大きさが変わることで費用が大きく変化します。

基礎工事費は、コンテナを設置する土台づくりに必要な費用です。重量のあるコンテナを支えるだけでなく、コンテナの水平を維持する必要があります。このため設置後傾いたりしないように、基礎工事は専門業者に依頼した方がよいでしょう。なお費用は、設置する土地の状況(平地、傾斜地)、ならびに基礎の種類(ベタ基礎、4点基礎、H鋼基礎)により異なります。

基礎は大きく分けて3つの種類があります。地面を均した後コンクリートで平面を作る「ベタ基礎(平基礎)」、四隅に埋め込んだコンクリートブロックでコンテナを支える「4点基礎」、均した地面にH鋼を敷いてコンテナを支える「H鋼基礎」があります。

「ベタ基礎(平基礎)」は、安定性の高さが特長です。またコンテナの面積より広くコンクリートを打設することで、余ったスペースをベランダや屋外作業場として使用することができます。「4点基礎」は、コンテナ下面に空間が生まれることから、湿気によるコンテナの腐食防止がメリットです。またコンテナの長さや用途により支える点数を増やした「6点基礎」もあります。「H鋼基礎」はコンテナを複数個連結して設置する場合によく用いられます。

電気工事は、母家から延長コードでケーブルを引っ張るなど、軽微であれば個人でも施工できます。しかし、エアコン用の電源確保、あるいは分電盤やブレーカーの設置など大掛かりな工事になる場合は、火災や事故につながる恐れもありますので、有資格者に工事を依頼しましょう。

水道工事は、母家からホースを引っ張るなど、敷地内であれば個人でも施工できます。水道本管からの引き込みを伴う場合は、指定水道業者による工事が必須です。また排水処理も考慮する必要があり、当初の見込み以上に工事費が高くなる可能性があります。こちらも事前に費用を見積もっておくのがよいでしょう。

コンテナガレージのそばに置きたい逸品!3m四方の小部屋「モデューロ」

スマートモデューロ

これまでにコンテナガレージのメリット・デメリット、ならびに改装方法についてお話をしました。ここではさらに一歩踏み込み、コンテナガレージと併せて活用すると便利な小部屋「モデューロ」をご紹介。

例えば、車のメンテナンスに必要な道具置場として、また、店舗の拡張スペース、休憩場所、勉強や仕事用など、コンテナガレージと併用することで使い勝手がグンと広がる、おすすめの小部屋です。

モデューロとは、「株式会社 吉銘」が生み出した「ムービングハウス」です。「株式会社 吉銘」は、奈良県吉野において木材と深くかかわりながら、長年にわたり建築資材を提供しています。乾燥させた木材を小さく切り分けて接着剤で組み合わせた、「集成材」を業界に先駆けて世に送り出したことでも知られています。

今日までに培ってきた木材にまつわる高度な技術と知識に、最先端の技術と柔軟な発想が加わることにより、モデューロは誕生しました。

モデューロは小さいながらも高級住宅に匹敵する心地よさが魅力です。
その秘密はモデューロそのものの仕様にあります。床には2種類の木材を使用し、壁は木材および気密性の高いポリフィルム、そして厚さ90mmの分厚い断熱材を使用した3層構造になっています。この構造により真冬でも外気を中にとりこみにくいため快適に過ごすことができます。
気密性、断熱性に加え、水密性、耐風圧性、遮音性も兼ね備えており、桁違いの快適性を実現しています。

実際の利用方法は、アイデア次第で無限の可能性が広がります。離れの書斎や子ども部屋、あるいはオフィスやカフェとしても利用可能。また、断熱性や気密性を活かしてワインや美術品の保管庫としても最適です。その上連結可能であり、宿泊施設や公共施設としても利用されています。

そして何よりも、自然素材をふんだんに使用した内装が魅力的です。外観はコンテナハウスとあまり変わらないものの、柱や内装に木を使用しており、中に足を踏み入れた途端、まるで森の中にいるような感覚で全身が木の香りに包まれます。木目の柔らかな風合い、そして木ならではの居心地の良さが、モデューロが生み出す特別な空間です。

もちろん、クレーンで吊り上げてトレーラーに載せることで、運搬が可能な範囲で思い思いの場所に設置できます。また一度設置した後も移動が可能であり、ライフスタイルや目的の変化に合わせて、何年かおきに移動させることもできます。もちろん公的機関による構造破壊試験において、耐久性も実証済みです。加えて初期導入費用にご不安をお持ちの方に、容易に導入できるレンタルプランを用意しています。

もっと詳しくモデューロについて知りたい方は、こちらの記事も参照ください。

あなたにピッタリのガレージは見つかる

コンテナガレージについて理解を深めるにつれて、「私でも導入できそう」と感じた人もいるのではないでしょうか。製作過程で成功したことも失敗したことも含めて、自分で作り上げたコンテナガレージが、世界にたった一つしかないオリジナルの作品です。その上耐久性や防犯性が高く、安心して利用できるとともに、新たに住宅を増築するよりもリーズナブルに導入できるなど、その魅力は尽きません。

そして、DIY好きな方にピッタリなのが、コンテナガレージです。自分で材料を揃えて、秘密基地を作るような楽しさを味わいながら、実用的なスペースをカスタマイズしてみましょう。