コンパクトハウスって何? メリット・デメリットや相場を解説
「都市部に家を建てたいが、土地の価格が高くて手が届かない」「マイホームを予算内に収めるために、小さな家を建てたい」「コンパクトハウスって、最近よく聞くけど一体何?」
こんな悩みや疑問を抱いたことはありませんか? 予算に限りがあったり、都市部でそこまで大きな土地を持っていなかったり。状況によっては、「小さな家」を検討する人も多くいることでしょう。
今回は、最近話題の「コンパクトハウス」について、メリット・デメリットや相場などを紹介します。検討中の方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
コンパクトハウスとは
コンパクトハウスとは、その名の通り「コンパクトサイズの家=小さな家」のことを指します。
具体的なサイズだと、延床面積が30坪(約100㎡)未満である住宅のことを、コンパクトハウスと言うのが一般的。単身やDINKS(子を持たない夫婦)、高齢者夫婦など、広い家があまり必要のない人々の選択肢になっている他、都市部の狭い土地に家を持ちたい人からも人気を集めています。
似た概念では、「タイニーハウス」や「スモールハウス」「マイクロハウス」といった用語を聞いたことがある人も多いでしょう。どの家もシンプルで機能的な暮らしができる、小さな建物や家を表現した言葉です。
狭い家だからこそのメリットもたくさんあり、昨今多くの注目を集めています。
コンパクトハウスのメリット・デメリット
コンパクトハウスは、住みやすい小さな家として注目されていますが、実際にメリットばかりなのかと気になる方もいることでしょう。もちろん、住む地域や住む人の属性によっては、通常の住宅にはないデメリットが生じることもあります。
そこで、コンパクトハウスにはどのようなメリット・デメリットがあるのかを見ていきましょう。
メリット・デメリットを知ってから、家族構成や経済状況にあった物件を探す、または建てるのはとても重要なこと。無理のない住宅ローンの返済や、快適な暮らしを実現することにつながります。さっそく知識を押さえていきましょう。
コンパクトハウスのメリット
まずは、メリットから紹介していきます。
メリット1:土地の選択肢が増え、土地代を抑えられる
コンパクトハウスならば、建物を建てるための土地探しの選択肢が増えます。
狭い土地でも問題なければ、交通網が発達している利便性が高い地域や、ビルなどが並ぶ都市部などを候補にいれることもできるでしょう。当たり前ですが、狭ければ狭いほど土地代自体を安く抑えることもできます。
土地代で浮いた費用は、建物の内装や外観などのこだわりたい箇所に使用することもおすすめです。
メリット2:税金を抑えられる
住宅を建てると、「固定資産税」などの税金がかかります。住宅の土地は「一般住宅用地」と「小規模住宅用地」のどちらかに分けられ、土地が200㎡(60.5坪)以下の場合は小規模住宅用地に該当します。
30坪未満が多いコンパクトハウスは、小規模住宅用地に振り分けられることがほとんどでしょう。
この場合、「固定資産税」や「都市計画税」といった負担が軽減されます。税金のようなランニングコストを抑えたい人にとって、コンパクトハウスはメリットが大きいと言えるでしょう。
コンパクトハウスのデメリット
続いて、デメリットを紹介していきます。
デメリット1:居住者が増えると窮屈に感じる
当然ですが、「小さな家」とは「狭い家」でもあります。
単身の場合はそう感じなくても、パートナーができたり、子どもが生まれたりすると、同じ家でもより窮屈に感じることがあるでしょう。
このように、居住者が増えた場合に、使い勝手が悪くなってしまうのはコンパクトハウスのデメリット。急な居住者の増減には臨機応変に対応ができないのです。
デメリット2:隣接する住宅との距離が近くなりがち
すでに隣に家が建っている場合や、分譲地である場合は、隣接する住宅との距離が近くなるケースが多いでしょう。狭い土地にいくつものコンパクトハウスが建ち並んでいる住宅街を目にしたことはありませんか?
あまりに隣接する住宅との距離が近いと、騒音などの近隣トラブルに巻き込まれてしまう可能性がゼロではありません。また、プライベートが守られないように感じ、気になる人もいることでしょう。
そのため、コンパクトハウスの土地探しでは、建物を建てた後の近隣住宅との距離感をイメージすることが重要。建築工事を終えた後に後悔しないためにも、業者としっかり話し合って、隣接住宅との距離がどれくらいあるかなど確認しておきましょう。
コンパクトハウスを建てる際のポイント
狭い土地に建てる小さな家だからこそ、コンパクトハウスを持つ上での注意点はいくつかあります。収納スペースや居住スペースの確保が難しいなど、検討しなくてはいけない特別な事項もあるからです。
後悔しないコンパクトハウスを建てるためにも、まず始めに「土地探し」と「設計士選び」に力を入れるといいでしょう。特に設計士選びをする際には、コンパクトハウスの設計図を作ったことがある方や、携わったことがある方を選ぶのがコツです。
その他、コンパクトハウスを建てる際のポイントをいくつか紹介していきます。
居住・収納・駐車場スペースを確保
コンパクトハウスの設計では、快適に生活が送れるようにまずは居住スペースを確保する必要があります。居住スペースを確保するために、リビング部分に階段を作り廊下や通路スペースを省くのもいいでしょう。
さらに、階段下のデッドスペースや床下を活用することで、収納スペースの確保ができます。
また、2階部分を居住スペースにすると、1階部分をビルトインガレージとして活用し、駐車場とすることも可能です。
このように、コンパクトハウスではさまざまなデッドスペースをどんどん活用していくことで、必要なスペースを確保できます。
扉は引き戸を活用
コンパクトハウスは、広いとは言えない空間。押し引きするタイプの扉は邪魔になりがちです。このタイプの扉は空間を狭めたり、扉と人の衝突事故の原因になったりするかもしれません。
そこで、コンパクトハウスで活用したいのが引き戸。レールや溝の上を往復させて開閉するタイプの扉のことです。引き戸によって、扉が開閉時にスペースを大きく取ってしまうのを防げます。それによって、室内は広く見えるでしょう。また、引き戸ならドアノブを省くことができ、見た目もスッキリします。
コンパクトハウスの相場と間取り例
相場
コンパクトハウスの価格は、家の構造やデザインにもよりますが、坪単価30~90万円程度が相場でしょう。つまり、延床面積30坪前後の家であれば、本体工事費は900~2700万円前後。これに、外構工事費や諸費用が加わります。また、別途土地代もかかることを念頭に置いておきましょう。
間取り例
コンパクトハウスが魅力的であることを知った上で、どんな間取りが可能なのか、より具体的なイメージを持ちたい人もいることでしょう。そこで、30坪以下のコンパクトハウスの間取りについて、実際の事例を紹介します(※ライター調べ。最新情報とは異なる場合があります)。
平屋4LDK 29.1坪
- 本体価格:1500万円〜1999万円
- 延床面積/坪数:96.47㎡/29.1坪
この間取りでは、玄関を入ってすぐ右側にLDKがあり、リビングを通らなくては自分の部屋に入れないため、家族と顔を合わせる機会が増えることでしょう。テラス付きのアメリカンスタイルの平屋は、見た目もおしゃれ。
コンパクトでありながら4LDKであるため、家族1人1人に部屋を設けたい場合にもおすすめな間取りです。また、リビングは洗面脱衣室やトイレ、各部屋と繋がっているため、生活動線をできるだけ短くでき、家事の負担を一気に軽減できるコンパクトハウスならではの特長もあります。
<参考:平屋のアメリカンハウス|タマホームの施工事例 >
平屋3LDK+SIC 25.6坪
- 本体価格:1500万円〜1999万円
- 延床面積/坪数:84.88㎡/25.6坪
この間取りは、庭へと続くウッドデッキを設置してこの価格と、コストパフォーマンス抜群のコンパクトハウスです。
玄関にはシューズインクローゼットが設置されており、趣味で靴を集めている方や、家族の人数が多い方でも満足して収納を行うことができます。また、3つの部屋があり、各部屋にはクローゼットが設けられています。
コンパクトハウスと言えども、収納をここまで重視することが可能。持ち物が多い人にとっては、とても参考になる間取りでしょう。
<参考:島根県益田市 N様邸|OWNER’S VOICE|ジブンハウス|スマホでできる自分だけの家づくり体験 >
平屋2LDK 20坪
- 本体価格:1391万円
- 延床面積/坪数:66.24㎡/20.0坪
この間取りは、20坪のため、1人暮らしの方やペットと暮らしたい方におすすめです。
部屋の数は2部屋しかない分、リビングが広々と設計されています。
また、ウッドデッキものんびりできるポイント。スローライフを過ごしたいミニマリストの方には、この間取りがぴったりかもしれません。
<参考:木の温もりが家族や訪れる人を迎えてくれるアウトドアスタイルの家 >
コンパクトハウスをお考えなら「スマモ」という選択肢もあり
コンパクトハウスのメリットやデメリット、間取り例などを紹介してきましたが、「他にも住宅の選択肢はないの?」と疑問に思っている方もいることでしょう。
そこで選択肢としておすすめしたいのが、「スマモ」こと「スマートモデューロ」です。
スマートモデューロは、株式会社吉銘が製造・販売を手がける次世代型のムービングハウス。文字通り、移動可能な“動かせる家”です。
高級木材がふんだんに使用されており、心地良い木の香りが漂う室内。夏は通気性がよく、冬は耐熱性に優れています。機密性の高い室内なので、外気を通しにくく冷暖房の効きもいいことから年中快適。居住性の高さがポイントです。
一定の条件はあるものの、レイアウトを自由に設定することができ、家としてだけではなく趣味部屋や仕事部屋としても活用が可能です。
タイプは6mサイズ・12mサイズの「スマートモデューロ」と、3mサイズの「モデューロ」があり、レンタルすることもできます。コンパクトハウスではなく、スマートモデューロの設置も検討したい方やもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
自由度抜群の新たな住宅「スマートモデューロ」を徹底解剖。これからの時代にピッタリのムービングハウスとは?
快適な住まいに、広さは関係ない
コンパクトハウスのような狭い家での暮らしは、不便のように感じられがちですが、間取りや設計の工夫次第で快適な場所を実現することができます。デッドスペースを無くしたり、家族構成に合わせて縦長に設計したりすることで、30坪未満の広さでも十分な活用が可能でしょう。
また、コンパクトハウスだからこそ、土地代や税金の軽減もでき、予算が少ない方や維持費をできるだけ節約したい方にもおすすめ。
「マイホームを建てるための予算が足りない」「住みたい地域では狭い土地しか取り扱われていない」などといった方は、コンパクトハウスのような住宅があるということを参考程度に知っておくといいでしょう。また、今回紹介したスマートモデューロのような、コンパクトなムービングハウスの検討も1つです。
快適な住まいに、広さは関係ありません。自分の暮らしに合ったコンパクトでミニマムなマイホームを、吟味しながら選んでみてくださいね。