木は光合成の働きにより、CO2（二酸化炭素）を吸って、O2（酸素）を吐き出し、残ったC（炭素）が葉や幹、枝など、木自身の体になるんだ。地球温暖化の原因となる二酸化炭素を空気中から減らして、酸素を増やしてくれるという働きがある。
若い木ほど、二酸化炭素を吸収してくれる量が多くて、樹齢40年を超えると、二酸化炭素をほとんど吸わなくなってしまうんだ。
だから、大きくなった木は切って家などに使って、そこに苗木を植えて森を若返らせることが大事なんだよ。

鉄、アルミニウム、石油など、私たちの暮らしに必要な素材はさまざまある。それらは使ったあとで、形をかえて再利用をすることはできても、資源そのものを人が作ることはできないよね。
一方で木材は、森から生産することができる、貴重な素材なんだ。
それに、鉄やアルミニウムは、製造・加工で熱を使うからたくさんのエネルギーが必要になるけれど、木を加工するのに必要なエネルギーは少なくて済む。だから木材を使うことは、ほかの素材を使うより、省エネルギーで済むんだ。

日本の森林は増えているか、減っているか、わかるかな？
世界で見ると森林は減っているけれど、日本では増えているんだ。日本での森林の課題は、むしろ、木が使われていないことにある。
木はやみくもに植えればいいというものではなく、きちんと森の手入れをすることが必要なんだ。手入れがされていない森は、幹や根が十分に育たず、日当たりも悪くなって下草も生えず、大雨の時に土壌が押し流されたりという被害が出ることもある。
木を植え、適切に管理できる状態を続けるためには、木を切って活用して、その収入で苗木を買って、森の手入れができるように、経済を循環させることが必要なんだ。

人は600～700万年もの間、自然の中で過ごしてきたんだ。その後、産業革命が起こって一気に都市化したわけだけど、都市で人が暮らすようになってまだ200～300年しか経っていない。遺伝子は数百年という単位では変化できないから、自然の中で過ごす用にできている体で、急に都市化された社会で生きていることになる。自覚していなくても、都市での生活はストレスが溜まってしまうんだね。

森林浴のリラックス効果を経験的に感じている人も多いと思うけど、千葉大学で科学的に検証が行われている。森林浴をするとリラックスしてストレスが減るだけじゃなくて、体の中で病気と戦ってくれるナチュラルキラー（NK）細胞が増えて病気になりにくくなったりすることがわかったんだ。血圧も下がるんだよ。
森林を歩かなくても、木材に触れるだけでも同じ効果があって、脳も体もリラックスすることがわかっているんだよ。

木材は、五感のうち、視覚・嗅覚・触覚にいい影響があるんだ。
ヒノキの香りによって前頭前野活動は沈静化し、脳がリラックスする。同様の効果は、針葉樹に含まれる香り成分α-ピネンや、リモネンでもみられた。
さらに、なんと木の写真見ただけでも同じような効果があったんだ。驚きだよね。
木に関するものを生活に上手に取り入れれば、実際に森に出かけなくても、森に行くのと同じような効果が得られるんだよ。そう考えると、木のある生活がぐっと身近になるよね！